相棒が逝った－胸膜中皮腫患者の前向き一辺倒－闘病記～死ぬまで元気です／50 右田孝雄
皆さん、こんにちは。私は相変わらず元気です。
今回は50回記念ということですが、2018年４月から始まった「死ぬまで元気です」はもう４年半も連載していただいているんですね。一体どこまで続くのやら、これを投稿しているうちは元気な証拠でしょうね。
今年も７月の『中皮腫啓発月間』も終了しましたが、この期間中の７月13日に中皮腫サポートキャラバン隊の副理事長でもあった舘山亮さんが享年46歳の若さで旅立たれました。実は前日、私は舘山さん（亮ちゃん）と面会していたんです。彼が体調が優れないと伺い、急遽亮ちゃんが療養中の北海道へ飛びました。
亮ちゃんの家は、北海道の広大な土地の閑静な町にありました。自宅にお邪魔すると、ベッドで横になっている彼と対面しました。腕と太腿が細くなっているのは明らかに分かりましたが、腫瘍と腹水で張っているお腹と肉付きのいい顔を見たら、普段の亮ちゃんと変わらないようにも見えました。話をする声も少しかすれていましたが、張りのある声といつも通りの口調に、私はまだまだ大丈夫だとその時思ったのでした。その後、それが大きな間違いだと知ったとき、私は大声で泣いていました。
彼の自宅で約１時間お話しさせていただき、亮ちゃんも疲れてはいけないと、「また来るからゆっくりしといてな」と告げて腰を上げると「はい、分かりました」と普段通りの言葉に安心して家をおいとましました。
その際、見送って下さった亮ちゃんの奥さんに「亮ちゃんは弟みたいに思えて」と言うと、「亮も右田さんをいつも兄貴みたいだと言ってます」と答えてくれた時、私はタクシーに乗り込みながら涙を流していました。そして、また必ず会いに来ると思いながら帰路に着きました。最寄りの駅から新千歳空港へ行き、その日のうちに自宅に戻ってきました。
翌日、中皮腫ＺＯＯＭサロンに参加しながら、亮ちゃんがサロンに入ってこないかと思っていましたが、結局最後まで入ってこなかったので、皆さんに亮ちゃんの様子を話し、彼を元気づけるためにみんなでスクリーンショットを撮って、画像を送ることにしました。サロンを終えてすぐにスマホを見たら、亮ちゃんからＬＩＮＥが届いていました。しかしのその内容は彼が書いたものではなく、彼の奥さんが書いたものでした。そこには亮ちゃんがちょうどＺＯＯＭサロンが始まった時間に息を引き取ったと書かれていました。
私はこの時、前日にわずか1時間の面会で帰ったことを後悔し、声を出して大泣きしていました。
舘山亮さん、本当に皆さんから信頼され、優しく思いやりのある方でした。本当に弟のように慕ってくれましたし、私にとっても最近は何でも相談のできる方でした。
相棒のくりちゃんが亡くなり、また次の相棒の今村さんが亡くなり、ようやく見つけた私の弟みたいな相棒の舘山亮さん。
現実は本当に残酷です。相棒が亡くなっても、仲間が亡くなっても、前に進むしかないんです。やることはお構いなしに次々と迫ってきます。
これからもこんなことの繰り返しですが、私はまだまだ元気です。というか、元気でなければいけないです。
関西労災職業病2022年8月535号
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