「中皮腫とともに生きる」先着5名プレゼント-胸膜中皮腫患者の前向き一辺倒-闘病記~死ぬまで元気です/49 右田孝雄

皆さん、こんにちは。

私は相変わらず元気です。

私は2016年の7月に悪性胸膜中皮腫と確定診断を受け、7月25日から抗がん剤治療を始めました。それから6年経ち思うことがあります。

発症当時、近所の方や親せきの方が心配してたくさんの方々が見舞いに来てくれました。涙まで流して病気のことを心配してくださる方もいました。ところが、6年が経過して周りを見渡すと、身内や親せき、ご近所の方まで多くの方ががんを発症していました。自分の両親もそうですし、当時泣いてくれた近所のおじさんまでがんに罹患していました。わずか6年の間に、何人もの周りの方たちががんに罹患し、そのうちの何人かが亡くなりました。

私はこうして治療を続けながら、死ぬまでこのまま元気でいていいのかと思うことがあるんです。

私は、アスベストが原因で中皮腫に罹患したため、無償で治療を受けることができ、また、療養手当も支給していただいています。それは私がアスベスト被害者だからです。しかし、世の中の方は、そうは見ない方も多いのは事実です。私が罹患した際に泣いて心配してくれていた方の奥さんですら、「国からお金もらってんのやろ、ええやんか」と私の母に何度か妬みのように言ってきたそうです。

アスベスト被害は未だ社会には浸透しきっていません。

明らかに公害認定されてもいいはずなのに、実態は被害者が裁判まで起こしてようやく少しずつですが国が責任を認めてきた状況です。テレビでは、すき間のない救済をするために、有名タレントなどを使って、中皮腫等のアスベスト被害は労災あるいは石綿健康被害救済制度による補償が受けられるとCMをしていますが、このことにより風評被害も多いのです。中皮腫患者さんの中には、「お金たくさん入ってくるんやろ?」とか「お金たくさんもらっていいなあ」という陰湿な言葉に胸を痛めている患者さんやご家族も少なくありません。

確かに治療費が無償でよかったと思うこともあります。しかしそれはアスベスト被害者としての最低限の権利だと思っています。

これから省庁交渉や中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会では、療養手当の見直しや増額、また石綿健康被害救済基金の一部をアスベスト関連疾患の治療研究に活用してほしいということがメインの論点となると思いますが、未だに多くのアスベスト被害者の方が救済されていません。高い製作費を使い、風評被害を生むようなCMを流すのではなく、もっと現実的にすき間のない救済ができる制度作りを求めていきたいと思います。もちろん腹案もあります。

6年も中皮腫患者をしていたら、いやな話も多く聞こえてきます。それでも、私が生きている証として、やれることを考えながら、無理はせずに頑張っていきたいと思います。

これからも忙しいですが、私はまだまだ元気です。

次回、50回記念ということで、先日出版しました中皮腫患者さん(私も含む)やご家族26人が書いた手記『中皮腫とともに生きる』(寿郎社)を先着5名の方にプレゼントいたします。

欲しい方は、関西労働者安全センター(Tel:06-6476-8220 E-mail:info@koshc.jp)までお問合せ下さい。

関西労災職業病2022年7月534号

悪性胸膜中皮腫と言われてどこまで生きれるかやってみよう!とおかげさまで5年経過達成しました~平成28年7月突然の「悪性胸膜中皮腫」確定診断。その後「中皮腫サポートキャラバン隊」中心に全国行脚を展開しながら治療を続けてきました。お蔭で6年を経過致しました。これからは目指すべきものの達成に向けて鋭意活動中です。(右田孝雄氏のブログ)

中皮腫ポータルサイト<みぎくりハウス>NPO法人中皮腫サポートキャラバン隊ホームページ