石綿救済基金を命の救済のために-胸膜中皮腫患者の前向き一辺倒-闘病記~死ぬまで元気です/38 右田孝雄

皆さま、お元気ですか?私はただ今絶好調でございます。6月28日に1回目のコロナワクチンを接種し、副反応は2日間の微熱程度、2回目は7月19日の予定です。

さて、7月はどのような月か分かりますか?

毎年7月を中皮腫啓発月間と設定し、世間の色んな方々に中皮腫という病気、アスベストは恐ろしいものだということを、特に啓発していこうという取り組みを行います。

この取組は、元々イギリスで毎年第1金曜日にアクション・メソテリオーマ・デーという形でイギリスの主要都市で講堂や教会、公園などに市民が集まり、中皮腫・アスベスト被害の啓発活動をされていたものです。4年前に、日本から活動家やご遺族がこれに参加して刺激を受けたのですが、当時はこれを日本でも企画しようとする方もいませんでした。国立がん研究センター希少がんセンターの加藤陽子さんも数年前にイギリスに行ってこの行動を見て感銘を受けられたそうです。そして昨年、私たちが日本でもこういう企画をしたいと思っていた矢先に、加藤さんからお声が掛かり、この中皮腫啓発月間を一緒に企画した次第です。

今年は中皮腫啓発月間として、毎週土曜日に様々な立場の方々から講演や体験を語っていただいています。

かく言う私も主催のNPO法人中皮腫サポートキャラバン隊の理事長ですので、初日の2人目に、「中皮腫患者と家族が置かれている現状、中皮腫サポートキャラバン隊の役割と目指すもの」と題してお話をさせていただきました。

医療のことについては、後半で医師が何人も講演して下さいます。社会保障については、病院で働くソーシャルワーカーや他の患者さんが、建設アスベスト訴訟については大阪アスベスト弁護団の弁護士がお話しして下さいます。

ということで、私の話すことはやはり、今中皮腫サポートキャラバン隊が何をしているのか、これから何を目指していくのかってことでした。目一杯30分使ってゆっくり話させていただきました。この模様については、後日「みぎくりハウス」にて公開されると思いますので、参加できなかった方はそちらをご視聴願います。

しかし、私が一番話したかったのは、やはり石綿健康被害救済法の改正です。

現在、環境再生保全機構にストックされている石綿健康被害救済金はいくらあるか知っていますか?なんと約800億円もあるんですよ。それなのに、石綿健康被害救済給付金の額の見直しはしない、石綿肺がんの認定基準も厳しすぎる、そして労災・救済制度で認定されているは中皮腫患者のうち約70%です。

それで環境再生保全機構は最近有名人をCMに起用して、救済されていない方を掘り起こしていこうとしていますが、私としては、そんなことで回り道するより、全国の各病院から中皮腫と診断された患者の情報を環境省へ吸い上げ、環境省から各患者さんへ「あなたは労災或いは救済制度の申請ができます」と通知するようなシステムを作ったらどうかと思います。

800億円もの大金をストックさせていては、いつかは悪い企みを考える人が出てきてもおかしくないと思いますが、そう思うのは私だけですかね。

筆者ミギえもんのブログ「悪性胸膜中皮腫と言われてどこまで生きれるかやってみよう!」
中皮腫サポートキャラバン隊HP みぎくりハウス

関西労災職業病2021年7月523号