「主治医に勝つ」の巻 胸膜中皮腫患者の前向き一辺倒-闘病記~死ぬまで元気です/28 右田孝雄

皆さま、お元気ですか。

コロナ禍の中で身動き取れず、家でゴロゴロしながら次の戦略を考えたり、身体にいいことを模索したりと、皆さんもこんな感じでお過ごしじゃないですか。

9月10日は9回目のアリムタ単剤の投薬日でした。今日はその時のお話をしますね。

この日は、午後12時50分の診察の予約で、その一時間前に入り、採血、レントゲン撮影、CT撮影を済まさないといけないので、正午前には病院に着き、予定通り検査を終えました。時間は12時半を迎えようとしていましたが、いつものことで丁寧に患者さんを診るのが定評な主治医は予定通りの時間に診察したことがありません。常に早くても一時間程度診察時間が遅れます。だから私はいつも、病院の小さなレストランで昼食をいただきながら時間を潰します。食事を終えて、ふと時計に目をやると午後1時15分を回っていたので余裕を持ったつもりで診察室の前まで行きました。すると、診察室から看護師さんが出てきて、「あ、右田さん来てましたか?」と言うのです。ちょうど順番が回ってきました。

早速、診察室に入ったのですが、主治医が開口一番「なんでや?」と言うのでした。私は椅子に座って、何があったのか様子を伺うと、「うそや」とまた大声で言うんです。患者の私は一体何がどうなったか目をぱちくりさせていると、「腫瘍が小さくなってるやん」と言うんです。この言葉には嬉しく思いながらも、主治医の欲目かとも思ってたんですが、CT画像の腫瘍の厚さを図ると、5ミリも縮小していました。たった5ミリですが、患者にとったら凄いことです。今まで成長することしかなかった腫瘍が目に見えて小さくなっていたんですから、私としても素直に嬉しかったです。

私が主治医に「これも先生のお陰です」と言うと、「何を言うてんねん」と否定しました。というのは、実は去る3月の診察日、主治医に「ジェムザールという薬をするか」と言われたのですが、私は「アリムタ単剤をやりたいです。アリムタが効いているような気がするんです」と伝えました。主治医は「そうかそうするか」と言いながらも、効かないと思ったのでしょうね、「効果なかったら余命1年や」と言われたのです。その結果、腫瘍の縮小を見た主治医が発した否定の言葉だったのです。

その時、正直私は思いました。

「主治医に勝った」と。

そして、「これやったら5年生きれますね」と言うと返ってきた言葉は「それはないやろう」でした。多分皆さんは「なんて医者や」と思うでしょうが、これは私と主治医の意思疎通みたいなもので「この病気を決して侮るな」と言っているように思います。

この中皮腫に罹患して5年目を迎えた今日、まだまだやりたいことだらけです。早くコロナ禍が終息してあちこち精力的に動きたいと思っています。

筆者ミギえもんのブログ「悪性胸膜中皮腫と言われてどこまで生きれるかやってみよう!」
中皮腫サポートキャラバン隊HP みぎくりハウス

関西労災職業病2020年9月514号