関西建設アスベスト訴訟/大阪2陣に9被害者が追加提訴

全国的に取り組まれている「建設アスベスト訴訟」の3陣の一斉提訴が今年(2020年)3月24日に行われたことをお伝えしたが、

建設アスベスト訴訟第3陣,全国一斉提訴2020/3/24「闘いは、まだまだこれからだ」

今回、さらに、関西建設アスベスト訴訟大阪2陣訴訟(大阪第16民事部)において、新型コロナ禍にもかかわらず、被害者単位で9名の追加提訴が行われた(4月24日:8名、5月11日1名)。
これにより、同2陣訴訟は、被害者単位合計で56名となった。

なお、同1陣(被害者19名)は現在、最高裁に継続中で、大阪訴訟全体では被害者75名となった。

弁護団によれば、今回の追加提訴は『「生きているうちの解決」という趣旨から、本人原告に限定して追加提訴を行ったが、提訴からわずか2カ月足らずにして、1名の原告(原告番号53)が亡くなられた。』とのことで、アスベスト被害救済は待ったなしの状況が続く。

被害者の職種、年齢、居住地、疾病、行政認定のプロフィールは次の通り。9名中7名が中皮腫であること、労災の適用を受けていないアスベスト救済法認定者が含まれていることが特徴である。「迅速な被害救済」と「制度を超えた救済枠組み」の必要性を示している。

提訴原告番号職種年齢行政認定居住地疾病
10次48大工59歳労災静岡胸膜中皮腫
 49大工59歳労災兵庫胸膜中皮腫
 50大工67歳労災大阪胸膜中皮腫
 51大工・内装工80歳労災大阪びまん性胸膜肥厚
 52温泉配管工61歳労災埼玉胸膜中皮腫
 53大工・内装工享年66歳労災大阪胸膜中皮腫
 54左官工76歳石綿救済法大阪胸膜中皮腫
 55現場監督58歳労災愛知胸膜中皮腫
11次56配管工74歳労災滋賀肺がん

また、今回を含めて提訴対象となった被告企業は次のとおり。名だたる大企業が名前を連ねる。危険と知りながら、利益優先の誘惑に勝てなかったツケを、それを許した政府=国ともども必ず支払ってもらわなければならない。

 1次2次・3次4次5次6次7・8次9次10次11次
AGC     
旭トステム外装     
ウベボード       
エーアンドエーマテリアル 
クボタ     
ケイミュー     
神島化学工業 
昭和電工建材        
日鉄ケミカル&マテリアル  
住友大阪セメント       
積水化学工業 
大建工業 
太平洋セメント  
東レACE     
ナイガイ  
ニチアス
ニチハ      
日東紡績 
日本インシュレーション     
バルカー 
ノザワ 
エム・エム・ケイ 
パナソニック  
被告企業数2013229122114193

今後の建設アスベスト訴訟は、最高裁に係属中の6訴訟(東京1陣、神奈川1陣、関西京都1陣、関西大阪1陣、福岡1陣)とともに、神奈川2陣東京高裁判決(2020年8月28日)、東京2陣東京地裁判決(2020年9月4日)が予定されており、その行方が注目される。

全国の弁護士が神奈川建設アスベスト訴訟判決に向け共同アピール 2020年5月15日