関西建設アスベスト訴訟大阪2陣、多数の追加提訴<大阪>

建設現場における石綿被害について国と建材メーカーを相手取った 「建設アスベスト訴訟」。
2008 年東京地裁を皮切りに、横浜、札幌、京都、大阪、 福岡の6地裁に提訴され、 それぞれが2陣訴訟も提訴された。
現在では、東京、横浜、京都、大阪の各1陣が最高裁で、札幌1陣、横浜2陣、福岡1陣がそれぞれ高裁で、 ほかは各地裁で係争中だ。
そんななか3月に入って、 大阪2陣の追加提訴が相次いで行われ、 8次提訴の3月29日に記者会見が行われた。
弁護団によれば、 被害者21名(原告31名)だった大阪2陣原告団に、新たに被害者24名 (原告36名)が加わり合計で被害者45 名(原告67名) となり、今回の大阪2陣追加提訴を加えると全国では被害者727名(原告831 名)となった。
追加提訴で大阪2陣原告団は倍増となった。
弁護団が広く関西地域以外にもよびかけたこともあり、北海道、名古屋、高知、福井からの参加があった。
屋根・外壁工、吹付工、とび工、 電工補助といった様々な職種の被害者が参加するとともに、 今回は中皮腫の被害者が多かった (中皮腫16名、肺がん3名、石綿肺5名)。
建設アスベス ト訴訟では、国と建材メーカー(企業) の責任が認められるかどうか、 建設現場では多数いる法的に労働者でないとされる「一人親方」について責任が認められるかどうか、 が大きな焦点となっている。 4つの高裁判決でみると、 次のようになっている。
国について、責任内容・時期の違いはあるものの、4判決すべてで責任が認められている。
企業については、東京1陣東京高裁判決では認められなかったが、範囲に違いがあるものの神奈川1陣東京高裁判決、京都1陣・大阪2陣大阪高裁では認められた。
一人親方については、 神奈川1陣東京高裁判決を除く3つの高裁判決ではいずれも認められている。今回の大阪2陣追加提訴においては一人親方、個人事業主も積極的に参加している。
会見で弁護団は「今後、最高裁でも一人親方に対する国の責任を認めさせることが非常に重要な闘いとなる。また、国の責任の始期を昭和40年代に遡らせることも重要だ。 対企業責任では、地裁判決で2つ、高裁判決で3つの企業責任を認める判決がでているが、最高裁においても、 企業の共同不法行為責任が認めさせること、 さらには企業の責任の始期を昭和40年代に遡らせること、吹付材メーカーの責任を認めさせることが重要。また、解体作業者との関係においても国・企業の責任を認めさせる必要がある」として、さらに救済の拡大を目指す決意を表明した。
今回の提訴にあたって当センターではこれまで支援した石綿被害者の方に裁判参加をよびかけるなど積極的に協力している。
建設アスベスト訴訟が最終的に勝利し、 建設現場でのアスベスト被害のみならずアスベス ト被害者全体の補償・救済進展への契機の一つになっていくことを強く期待している。
『関西労災職業病』2019年4月(498号)