支給決定件数4686件、認定割合98.6%(2023/6/30現在)/建設アスベスト給付金(特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金)制度

着実な認定件数の積み上げ続く

提訴から13年の闘いを経た2021年5月17日、最初の最高裁判決を受け、同年6月9日に議員立法により「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、2022年1月19日に完全施行された。

給付対象は、最高裁判決において国の責任を認めた範囲に限定されており、その要件は、

1 下記の表の期間ごとに、表に記載している石綿にさらされる建設業務に従事することにより、
2 石綿関連疾病にかかった
3 労働者や、一人親方・中小事業主(家族従事者等を含む)であること


とされている。

厚生労働省に申請すると特定石綿被害建設業務労働者等認定審査会、同専門委員会による検討、審査が行われ、結果が請求者に通知される。

審査会はこれまで17回開催されており、2023年6月30日現在までで、4686件審査され4619件が認定された。認定事案における疾病別の割合は、中皮腫51.4%、肺がん37.1%、石綿肺6.1%、びまん性胸膜肥厚3.9%、良性石綿胸水1.5%。

特定石綿被害建設業務労働者等認定審査会の審査結果20230630現在

2021年度の石綿関連疾病労災認定等(時効救済含む)件数1106件のうち、建設業は680件、61.5%。この680件は、前述したこれまでの建設アスベスト給付金支給決定件数4619件を比べると、4619/680=6.79、つまり建設業における労災認定件数7年分弱である。

したがって、これからも建設業における石綿被害は発生続けるだろうし、かつ過去分も含めると、給付申請は増加していくとみて間違いない。

当安全センターでも何人かの方の給付金申請をサポートしているが、なかには、労災認定を受けていない方(労働者でないため労災認定ではなく、石綿救済法の認定を受けた方など)や労災認定を受けていても労災認定時の決定内容だけでは要件に該当しない方がおり、その場合、給付金申請は一定の困難を伴うので特に支援が必要となっている。

そして、国に対する給付金申請と合わせて建材メーカーに対する損害賠償請求をできるだけ追求していくことも重要で、関係弁護団との協力を一層強化していかなければならないと考えている。

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建設アスベスト給付金審査の最新状況(厚生労働省 特定石綿被害建設業務労働者等認定審査会)

不認定事案への対応

不認定件数は上記のとおり、2023年5月31日現在で累計で8件と少ない。しかし、今後、確実に増えていきそうである。

不認定となる理由は、給付金支給の要件に該当しないと判断されたものだが、どの点が該当しないかが問題となる。おそらく、もっとも多いのは、石綿ばく露の内容と期間が該当しない、あるいは、不明であるとされるケースだろう。

そのような場合は、あきらめずに一度、経験の豊富な市民団体や弁護団に相談されることをぜひ勧めたい。当センターにおいても相談を受け付けている。→相談はこちら