全港湾大阪支部安全衛生委員会、2020年安全パトロール実施
本年最初の全港湾安全衛生委員会の安全パトロールが2月18日に実施された。
この日は2班に分かれて10社を巡視した。今年度の重点項目は、港湾については分煙対策と安全保護具の着用であり、本年4月から義務化された受動喫煙防止や、昨年施行された安全衛生法の安全帯の規格の改正への対応について調査する。車両に関しては有給休暇取得状況がパトロールの対象となっている。
職場の安全衛生は事業所としても重視していることから、パトロール先でも事業主に率先して案内していただけることもあり、たいへんありがたい。今回訪問した一心港運、阪南港運、協和運輸、中谷運輸でもそれぞれ多忙なところを代表者に対応していただいた。また、いずれの起業においても程度の差はあるものの分煙対策に取り組み、安全保護具着用状況は概ね良好であった。
ところで安全パトロールは、労働組合だけではなく会社も行っていることも多い。今回訪問した企業のうち、一心港運では月1回、阪南港運では年3~4回実施されている。協和運輸で8班に分かれ、班ごとに安全集会を開催している。これらの寄場には定期安全パトロールの実施日や、ヒヤリハットに対する啓発が掲示されており、常に従業員に対して安全に関するアプローチがされていることがわかる。
今回のパトロールでは、監督署からの指示で地域産業保健センターを活用し、面接指導を受けることになったという情報提供もあった。おそらく長時間労働が認められる労働者がいることから、過重労働による健康被害を防止するため事業者が講ずべき措置の一環だったものと思われる。事業場が常時50人未満の労働者を使用するものである場合には、地域産業保健センターの活用を図るものとする、となっていることから、大阪労働局長名で面接指導を指示したのではないだろうか。法令に記載されている事項でも、その具体的プロセスについて目に触れる機会は少ないことから、送付資料ももう少しきちんと目を通させていただけばよかった。
個別の現場では、阪南港運の食堂・休憩施設が清潔で快適であった。採光も良いが、主に清掃と整理整頓が徹底しているためだと思われる。休憩スペースが充実しているうえ、仮眠スペースまで備えられているという。この日の現場は風の強い中、木材チップが卸されており、目を開けていられないほど粉じんが吹き荒んでいたが、午前中の作業を終えて休憩する際にだいぶ埃も床に落ちるに違いない。それでもこの快適さを維持してくれるに違いない担当職員さんには脱帽である。
中谷運送ではメンタルヘルスに関する意見が出された。ストレスチェックについて実施しても、活用方法がないことに戸惑いを感じている。今は問題が発生していないとしても、互いに顔の見える職場環境でメンタルヘルス対策を講じようとしても問題を把握する段階から人間関係がこじれることもありうる。職場ごとに対策も異なるため、パトロールを通じて良好事例・失敗事例を集めてもよいかもしれない。
関西労災職業病2020年5月510号