死ぬまで元気です 12 胸膜中皮腫患者の前向き一辺倒-闘病記-余命2年と言われて5年目を生きる 右田孝雄
こんにちは、 中皮腫サポー トキャラバン隊で日々、 日本中を駆け回りながら、 2週間に1度オプジーボを継続中です。 この原稿を書いている今は 13 回目のオプジーボを投薬した後ですが、 すんなりここまで来たかというとそうでもなかったんです。
現在オプジーボ投薬中の患者さん、 これから投薬する患者さんは十分注意してほしいことを私の経験から書きます。
実は、8回くらいまでは副作用も現れず、ほぼ何も気にせずに継続していました。 ところが冬場に差し掛かった時の9回目くらいから、 背中のあちこちが少し痒くなってきたんです。 元々乾燥肌だった私は冬場になると内腿やふくらはぎなど痒くなっていたので、 その時もその影響だと決め付けていました。 ところが回数を重ねるごとに痒みが増して我慢できなくなってきました。ちょうど10回目のオプジーボ投薬があり、投薬前の検診で酷い痒みがあると主治医に言うと、 どうやら副作用の肌乾燥ということらしく、軟膏を処方していただきました。これで一安心と11回目、12回目と投薬しました。
それから1週間後に地元で漫才イベントがあったので家族で観に行ったんです。 終わったのはもう午後10時前で夕飯を食べるところも限られていて、 仕方なく会場からほど近い居酒屋へ行きました。ところが、そこで親父と甥っ子が食あたりになって上げ下しが酷かったんです。 幸い私は何もなく、翌日は予定通り新幹線に乗って東京へ。ところが、 その新幹線の中で私も全身に冷や汗をかきトイレで嘔吐してしまったのです。私も食あたりかと思いましたが、 それ以降身体は怠くて階段の上り下りで息切れして身体の節々が痛くなってきたんです。私は食あたりから来たものだと決め付け、これまた予定通り翌日から二泊三日で韓国に行きました。
韓国でも初日二日と歩き疲れてか夜には熱が出ていました。 最終日にどうにか熱が下がった私は身体も怠くて身体の節々が痛くなりながらも帰国できました。
帰国後病院に行ってこれまでのことを言うと、 主治医が調べてくれたのですが、 血液検査の結果も殆んど正常で原因不明でした。 何が原因か分からないまま血圧を測って、主治医が「これか」と言ったのです。その数値を見たら、 98/66でした。 どうやら貧血気味だったのです。 普段145/95くらいと高いくらいでしたので、 不思議に思った主治医が再度血液から副腎機能を調べなおすと、案の定、下垂体から副腎へのホルモンが出ておらず、コルチゾールが欠乏したのが原因と分かりました。
つまり、 新幹線で嘔吐してから苦しめられたのは食あたりなんかではなく、 オプジーボの副作用による副腎機能の低下によるものでした。 主治医にステロイドの点滴をしてもらうとすぐに元気になったのも不思議でしたが、 軽い症状だからと放っておくととんでもないことになることを実感したのでした。
皆様、 咳が出たり身体が怠いと、 すぐに風邪や疲れだと決め込み放置しがちですが、放っておくと命取りになりかねませんので、 すぐに病院へ行くことをお勧めいたします。
『関西労災職業病』2019年4月(498号)