辺野古からの通信ー10 /宮崎史朗(全港湾建設支部)

前回通信(8/17)は残暑厳しき折でしたが、このところ、さすがに朝夕は涼しくなりました。11月から年末迄、2月下旬から3月一杯は気持ちのいい日が多いお薦めの季節です。4月には夏になりますから、それはそれで、その暑さをお楽しみください。

県民大行動11/1で「住民訴訟」アッピールする浦島ヘリ基地反対協共同代表

先週土曜日(11/1)、オール沖縄会議は第53回県民大行動を辺野古ゲート前で開催しました(468人参加)。辺野古新基地や沖縄を巡る以下の課題が、各地の島ぐるみ会議や国・県会議員から提起されました。
①キャンプ桑江の浄水場で基準値越えのPFASが検出され、米軍が県、北谷町に給水を要請(汚染源調査のための基地内立入は拒否しているので、県内では非難轟々)
②住民による「県の設計変更不承認への国交相『取消処分』の取消訴訟」で原告適格が認められ、裁判は埋立の適法性についての本題へ。他に2件の住民訴訟あり
③最大規模で実施されている自衛隊統合演習に関連し、中城港湾で民間フェリーからの自衛隊員、車両の上陸に対する抗議行動
④今も続く米軍関係者による性暴力、事件事故についての国会要請行動。95年8万5000人結集の県民大会から30年。何が変わったのか
⑤沖縄県議会の「自衛隊差別改善決議」が示すこと
⑥大浦湾地盤改良のための海砂採取による海岸線の被害など様々な問題
⑦安和死傷事故にかかる事故映像の不開示(防衛局)に対する開示を求める裁判
⑧辺野古現闘部から辺野古・大浦等の現況報告と各行動への参加要請
⑨2026年1月25日投開票と迫ってきた名護市長選挙

辺野古ゲート前で座込む市民 10/21大雨のなか機動隊よる強制排除

まずは、辺野古新基地建設の現状報告からです。
辺野古の工事用ゲートでは、工事車両は従来通り1日3回出入りします。時には抗議行動を始める前の早朝、生コン車や大型車両が入ることもあるようですが。
1日当たり400台から500台程度の工事車両が入ります。10月のデータでは、護岸築造に使う栗石と呼ばれる石材(大小あります)が200台前後、大浦湾の埋立てに使うと思われる土砂(現在は辺野古埋立地区に仮置き)が150台前後、ダンプ以外は生コン車と資材や重機などの搬入車です。
この車両数をどう見るかということですが、石材は大浦湾埋立のための中仕切り護岸や海岸線に築造している仮設道路用、埋立土砂は辺野古側仮置きしているだけですから、工事用ゲートからの搬入は大したものではないと言えます。
大浦湾を眺めますと、防衛局でなくとも「仕事は進んでいるの?」と言いたくなるほどの「惨状」です。地盤改良工事の肝であるサンドコンパクション船は、6月10日台風接近を理由に大浦湾から姿を消しました。ほぼ5か月後の現在も姿はありません。琉球新報(10/29)は、「砂グイ打ち込みに遅れ」「4万7000本の打設完了まで約10年かかるペース」と報じました。進んでいるらしいA護岸工事も着手後1年2カ月経っていますが、打設できた鋼管矢板は約300本、鋼管杭打設だけで3年半ほどかかり工程の遅延が明らかです。

大浦湾 A護岸の工事続く 杭打ち船による鋼管矢板の打込み(11/1)

2014年7月の閣議決定から11年以上経過しても、埋立土量は16.4%(琉球新報10/29)にとどまっています。しかも埋め立てたのは浅いリーフの中である辺野古側だけ。もはや、世界一危険な普天間基地の代替施設を”一刻も早く”辺野古に建設するという大義名分がまやかしであることは誰もが知ることになりました。
昨年6月の安和桟橋出口での死傷事故に関して、重傷を負った仲間を「重過失致死罪」容疑で検察は捜査しています(前号既報)。当時の防犯カメラの映像の開示を被害者が求めたところ、防衛局は「不存在」を理由に開示を拒否。不開示の取消し、開示を求める裁判が10月16日那覇地裁で開かれ、防衛局はなんと「映像保有」を認めたものの、映像の女性と請求者が同一と特定できないと主張し非開示を正当化。なんとも苦し紛れの主張です。防衛局側の破綻ははっきりしてますから、地裁もいずれ開示を認めざるをえないと思います。しかし、この裁判では原告(被害者)の本人陳述を認めなかったそうです。原告本人の陳述は当然のことですから、裁判長になんらかの予断があると懸念されます。
沖縄県議会は、10月8日、自衛隊「差別」改善決議を自公などの賛成多数(賛成25,反対19,退席2)で可決しました。自民が挙げた近年の「差別事例」は、①自衛隊の沖縄全島エイサーまつり出演に対する抗議 ②陸自石垣駐屯地のハーリー大会出場への中止要求 ③自衛隊行事による与那原町施設の許可取消し要求 ④那覇市小学校での南西航空音楽隊による演奏会中止要請 ⑤平和運動センターによる教育現場を自衛隊広報の場にしないよう求める要請 ⑥日米共同訓練での抗議活動 ⑦米海兵隊とのジョイントコンサートへの抗議活動です。県民大行動で議会での顛末を報告した幸喜愛県議(てぃーだ平和ネット)は、与党会派として可決させたことは申し訳ないと陳謝していました。
これらの事例は自衛隊組織の行動に対する抗議行動です。なぜ自衛隊員個人への「差別」に当たるのでしょうか。「復帰」後、自衛隊が沖縄に進出し、沖縄県民の反対の声を浴びました。「軍隊は住民を守らない」は、沖縄が沖縄戦から学び取った重要な教訓です。
台湾有事を煽り、南西諸島への軍備強化を推し進める国が、自衛隊の宣撫活動への批判、抗議を押しつぶそうとしいることは明らかです。こうした理不尽が、唯一の地上戦を経験した沖縄で進んでいることに脅威を感じています。
辺野古住民訴訟(②)の第14回口頭弁論が11月4日那覇地裁で開かれました。地震危険性調査の必要性が争点になり、裁判長は①県の不承認について、県知事権限の「逸脱」「乱用」があったかどうか、②地震動の考慮、③地盤調査の要否、④地盤調査のための調整係数の設定の4点を審理の柱とする方針を示しました。沖縄県の抗告訴訟は、すべて入口論で退けられており、辺野古裁判で初めて、埋め立てが適法かどうかが問われます。注目してください。
最後に来年1月25日投票日の名護市長選挙についてです。辺野古新基地反対を全面には押し立てていないものの言葉の端々に「基地はいらない」を感じる「翁長クミ子」さん(名護市議)が立候補予定者となりました。事務所開きが11月3日に開かれ、各地各界から150名が結集しました。福祉や子育て支援を基地交付金に頼らない市政を目指し、選挙の相手側は「国」だと明言するクミ子さんを全国から支援しましょう。(11/5記)

誇りある名護市をつくる会事務所開きで若者たちと一緒に歌う翁長クミ子さん(11/3)

関西労災職業病2025年11・12月571号