辺野古からの通信ー5 /宮崎史朗(全港湾建設支部)

9月12日琉球新報一面に「PFAS 米軍汚染なら浄化責任」「米国外適用させず」の見出しが踊りました。米国防総省のPFAS浄化に関する指針で、「飲料井戸について米軍の活動が関係していると判断された場合、浄化に取り組む」という。但し、米国外の基地については直接適用されない、とあります。
PFAS被害は、日本では全国各地で様々な形で起きていますが、沖縄では、「基地」(米軍、自衛隊)由来であることは間違いありません。「宜野湾ちゅら水会」は米軍普天間飛行場内の地下水などの環境調査に関して、県環境部に立入申請をするよう9月13日に要請しました。県は「2019年に汚染源の特定を目的に水質・土壌調査のための立入申請をしたが返事がない」としています。木原防衛大臣は、「在日米軍基地については米国の判断であり防衛省として答えるのは困難だ」という。この政府は、一体どこを見ているのか。国民を無視し米軍しか見ていないことに改めて悲しい思いがしました。
辺野古ゲート前での座り込みは続いています。国頭地区からの埋立用土が運び込まれ始めたことは報告しましたが、8月に入り、栗石と埋立用土が1日当たり100~150台増えています。栗石は中仕切り護岸N1、N2を作るための石材ですので増えることは想定できますが、埋立用土は辺野古側の埋め立てた地区に仮置きしているだけです。現在、埋め立てる場所はないのですから急ぐ必然性は全く感じられません。にもかかわらず、沖縄防衛局はダンプ台数を増やし、1日で400台を越える工事車両が入っています。
この為、ゲート前だけでなく名護市内の各所で渋滞を引き起こしています。防衛局は渋滞対策として、1日3回の搬入は維持し、工事ゲートでの搬入時間-機動隊による規制時間を長くする選択をしたようです。最近、一回当たり20分程度だった規制時間が40分以上となっています。
しかし、新基地建設を止めさせる抗議行動は、まだまだ厳しい日差しの中やスコールのような大雨の中でも絶えることはありません。

豊原から見た辺野古側の埋め立て状況 会場および陸上から運び入れた埋立用土が積み上げられている 計画では4~5Mほど嵩上げする 9/14撮影

安和桟橋へのダンプ強行搬入

オール沖縄会議が7/18に発表した死傷事故についての見解に添付された現場概要

6月28日の安和桟橋出口での事故発生により、防衛局は安和桟橋、塩川港での埋立土搬出を中断しました。オール沖縄会議は7月18日、独自の調査を踏まえ、事故原因は防衛局が工事を急ぐため安全管理を怠り、埋立土砂を搬送するダンプの回転を速めようとしたことが事故の背景であると指摘し、事故原因・安全対策を公表することが再開に条件だとしました。また抗議行動は当然の権利に基づく行動であり今後も継続するとしています。
ところが、防衛局は事故原因や安全対策を全く明らかにしないまま、8月20日からダンプの出入りを再開しました。しかも、市民による「妨害行動」が事故を引き起こしたと言わんばかりのコメントを出しているのです。更に、機動隊、民間警備員を動員し、出入口前の通行を長時間にわたり規制し、安全ネットと称するオレンジネットで市民の行動を妨害しています。この規制・妨害は現在、日々強化されている状況にあります。

A護岸(二重鋼管矢板式)で鋼管矢板打設中、。K9護岸の延長上 8/31撮影

大浦湾ではA護岸(二重鋼管矢板式)、中仕切り護岸N1、N2の築造に着手しました。政府は、軟弱地盤の存在を認め、改良工事のため総額9300億円の費用がかかると公表しています。しかし23年度末までに支出済額は5319億円です。埋立土量は全体の約15%に過ぎません。しかも、軟弱地盤の改良や水深が深い地区の埋立など難工事はこれからです。国民の金を湯水の如く使い、海を、サンゴを、ジュゴンを、そして豊かな生態系を破壊するのか、今からでも引き返すべきです。財政破綻状態の国は無駄遣いする場合ではありません。工事中止の声を強めたいものです。

N1中仕切り護岸築造工事で石材を投下する準備工事をしていると思われる 8/31撮影

米兵による性犯罪がまたもや発覚しました。沖縄県警が9月5日、米海兵隊員を不同意性交致傷容疑(6月に生じた事件)で検察に書類送検しました。今回は県側に通知したため明らかになりました。過去10年間で米軍刑法犯の61%が沖縄県で発生しています。PFASも然りですが、基地あるが故の生活破壊です。
オール沖縄会議・平和市民連絡会の共同代表でもある高里鈴代さんは、ゲート前の座り込み現場で、少女誘拐暴行事件の被害者の法廷での証言(7時間半に及んだ)を傍聴し、少女の対応を讃える一方、二次被害を引き起こさないかと強い疑問を指摘されました。
県民が一致団結して県民大会を成功させ、日米両政府に沖縄県民の怒りを示し、具体の対策を要求すべきだと思います。
宜野湾市長選挙は残念ながら、桃原功元市議が敗北しました。桃原氏は辺野古へのよく見え、私たちとも親しく話をされていた方なので、本当に残念です。次にお会いしたらお疲れさまでしたと伝えたいと思います。
沖縄県が国を訴えている最後の抗告訴訟で福岡高裁那覇支部は却下しました(9月2日)。法廷での闘いは厳しくなっていますが、辺野古住民が訴えている裁判はまだ続いており、門前払いではなく、国の裁決の是非の本番にいたる可能性があります。今回は紙幅を越えていますのでいずれ報告します。是非注目してください。

みやざき・しろう:全港湾建設支部 辺野古基地反対闘争支援で沖縄滞在中

関西労災職業病2024年10月559号