間接部門含め原告全員和解勝ち取る/エタニット高松国賠裁判<香川>
記者会見する弁護団、原告団、支援
日本エタニッ ト高松工場で働き中皮腫などのアスベスト被害を受けた労働者と遺族が国に対して損害賠償を求めた裁判について、 2月15日、高松地裁で最後の和解が成立し終結した。
提訴は第一次2017年4月14日、第二次5月17日。この日をもって、 原告総数50 名、被災労働者総数20名(うち13名死亡)のすべての和解が成立した。 和解合計額は、慰謝料総額1億7000万円に遅延損害金と弁護士費用を加え2億7700万円。
記者会見において 「予想より大幅に遅延はしたが、 内容的にはほぼ完全勝利」 と弁護団(団長・宮里邦雄、主任・古川景一)が報告した。
国は国賠和解の条件の一つに「1958年5月26日から1971年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、 石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと」としている。
一方、 日本エタニットパイプは、局所排気装置の設置が刑罰付で義務付けられた1971年5月に、高松工場での石綿セメント管製造を中止している。
つまり、原告らの被害は、つまり、原告らの被害は、国が規制権限を行使していれば食い止められた部分がたくさんあったということになる。
また、国は当初、石綿セメント管製造の機械を操作しない間接部門の労働者6人(倉庫、強度試験、清掃、資材や部品の調達、石綿原石入り麻袋の検数、麻袋の売却等)について、「局所排気装置の設置により被害を防げた」と言えないのではないかとの疑問を出していた。しかし、最終的にこれら6名について、局所排気装置の設置をしていれば被害を予防できたことを認め、国の賠償責任を認めた。
これは、特筆すべき点だ。
今回、「原告全員が和解」に至った大きな要因は、高松工場閉鎖後、自主生産に取り組んだ「日本エタニットパイプ労働組合高松支部」の存在、同支部と弁護団による継続会社のミサワリゾート(リゾートソリューション)との示談交渉、それを通じての労働者台帳等の情報の保管・蓄積、愛媛労働安全衛生センターなどの支援がおこなわれてきたことであった。
関西労働者安全センターは、愛媛安衛センター、ひょうご労働安全衛生センター、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会四国支部とともに裁判を支援してきた。今後も共に被害者掘り起こし、元労働者や家族への支援を継続していくことにしている。
『関西労災職業病』2018年4月(487号)