ニチアス元従業員らによるアスベスト国賠(泉南型)被災者15名、原告29名に及ぶ集団提訴

ニチアス元従業員である勝村正信さんに対する国家賠償訴訟における和解が成立したこともあり、ニチアスをはじめとする奈良県内のアスベスト工場などで就労し、健康被害を被った被災者に対する国家賠償訴訟が提起されている。その内訳はほとんどがニチアス株式会社王寺工場であるが、ニチアス王寺工場の下請け1件、また奈良県下のアスベスト製品製造工場の元従業員に関する提訴も1件含まれている。

5月8日および7月3日と、2回にわたって提訴されたものにつき、被災者の数は15名で、原告数は29名にのぼる。このうち被災者が亡くなっているケースが12名と大多数を占める。現在闘病中の3名も、石綿肺や肺がんを抱えての提訴であった。被災者に関するデータをまとめると、次表のとおりである。

男性は比較的定年まで就労し、若い時期に中皮腫や肺がんで亡くなっている傾向がある。女性は織布や紡績などの作業をしていたと思われるが、短期間でも大量の石綿粉じんにばく露していることから、肺がんや中皮腫に苛まれている。

故人が多いことから、ばく露立証について困難が予想されるが、国もニチアスらの石綿粉じんばく露による被害については、十分な数の労災認定の経験と、ニチアスらにおける粉じんばく露作業に関する認識があるものと考えている。

また、国家賠償訴訟の対象者に対して国から直接案内を送付している背景もあり、同国家賠償訴訟の要件のうち、責任期間(昭和33年5月26日~昭和46年4月28日)内のニチアスなどの石綿工場における就労と、提訴時期が損害賠償請求権の期間内にあることの確認がなされれば、速やかに和解に応じ、被災者および家族に賠償金が支払われることを期待したい。

ニチアス王寺工場については厚生労働省が公表している資料によると、労災補償を受給している、あるいはしていた元従業員が100名弱いることが判っている。その多くが国の責任期間にニチアス王寺工場で就労していたとすれば、国に対して補償を求めることができるため、報道機関にも働きかけてより多くの方々に周知を徹底していく必要がある。

なお、本裁判は、アスベスト訴訟弁護団が担当しており、問合せ/相談は、こちらまで。

関西労災職業病2018年8月491号