岐阜の廃止鉱山のマンガン中毒、労災認定。岐阜では初めて/辻中鉱業(東大阪市)旧鉱山
岐阜県のマンガン廃止鉱山(辻中鉱業:東大阪市)において、十数年間劣悪な環境の中で働き続け、マンガン鉱粉じんを吸い込み続けたためマンガン中毒症にかかったKさん、Hさん両氏は、1984年10月にそれぞれ岐阜県の高山労基署、関労基署に労災申請を行っていたが、この4月に認定された。
岐阜県内には、今は廃止されてしまったが小さなマンガン山が散在している。いずれも、数人から十数人の規模であった。ここで働いていた労働者の中には、今はもう個人となられた方もおり、重いじん肺症による死亡者もいる。そうした岐阜の元マンガン鉱山労働者の中でマンガン中毒と認められたのは今回が最初である。
辻中鉱業は、京都、愛媛にも鉱山を所有していたためその方面にも認定患者がおり、また、愛媛ではじん肺、振動病と合わせた集団健診が労働者住民医療連絡会議の手により行われている。それらとも関連して今回の取り組みがあった。
労基署側の調査はまず順調に進んできたが、最終段階において、主治医でありマンガン中毒症の権威である松浦良和医師の意見書に付け加えたいと、中部労災病院の安藤医師への受診を要請してきた。前号で報告したようなやりとりの後、受診することに氏、その結果、「マンガン中毒の疑いあり」との意見書が提出されたのである。
今後、この認定を第一歩として、他の問題(じん肺、振動障害)についても取り組みを進めていくことにしている。
関西労災職業病1985年4月131号