短期で発症した眼精疲労・乾燥性角膜症に労災認定ーパソコン業務派遣労働者/大阪

両眼の眼精疲労、乾燥性角膜症などで労災の療養補償給付を求めていたTさんの労災が認められた。

Tさんは、情報システム関連業務で大手電気会社に派遣されていた。業務時間中はほとんどパソコン作業であったが、残業もほとんどなく、問題なく3年以上働いていた。あるとき、所属課の上司の昇格試験の資料や会議資料の作成の仕事を命じられ、急ぎの仕事で、日常業務に割り込ませておこなったが、始めて1週間ほどで眼痛がおこり、眼精疲労などと診断された。残業時間としては資料作成をした約3週間の間に22時間ほどで多くはなかったが、上司の昇給に関わる資料など非常に気を使うものであり、相当上司から細かい指示があって何度も作り直したことなどストレスが高かった。また、資料の字も細かく、6-8ポイントの字を倍率300%に拡大して作業し、全体の配置を確かめるために70%にするということを繰り返した。作成した資料は700枚、積み重ねると7-8cmの高さになった。さらに資料の更新のためのプログラミング作業も行った。

Tさんは眼科に行った後、業務でなったものであるので、派遣元に労災申請を依頼したが断られた。その後、労災は本人申請であることを知り、再度派遣元に労災請求を依頼し、なんとか書類をもらった後も、派遣元より労災申請やめるよう説得された。そうこうするうちに、派遣先の上司は契約更新を望んでいたにもかかわらず、派遣元から3月末での雇い止めとされた。

これについてTさんはもちろん納得がいかず、派遣労組に相談した。派遣元との団体交渉中に労災についても認定されたいとセンターを訪ねてきた。

すでに療養補償の請求書を病院に提出していたので、請求が管轄の監督署に回ってくるまでに、業務負担を証明できる資料を作成した。本人の申立書、勤怠や契約書などを用意、さらに業務量を分かってもらうために、仕事で作成した資料を打ち出して重ねたものを厚みが分かるように横から写真に撮った。分量が目で分かりインパクトがあったと思う。管轄の大阪中央労働基準監督署が調査を始めるとそれら資料を提出した。認定についてはやはり本省協議となり、約1年と時間はかかったが認定された。

しかし、短期の業務による発症であり、さほど長時間業務ではなく労働密度とストレスによる負荷が評価されたことは画期的であったと思う。

関西労災職業病 2006年2月356号