安全のきいわあど/その36・最大積載量2トン以上の貨物自動車

死亡災害の原因のトップは「墜落・転落」で、死傷災害でも「転倒」に続く第2位だ。その墜落・転落の原因のトップは「はしご等」だが2番目はトラック。

そのトラック(貨物自動車)からの荷の積み降ろし作業にかかる安全衛生対策の規制が変更される。ポイントは次のとおり。

一つ目は、現在、最大積載量5トン以上の貨物自動車については、昇降設備の設置と荷役作業を行う労働者の保護帽着用が義務付けられているが、これらの義務の対象となる貨物自動車を、最大積載量2トン以上の貨物自動車に拡大するというもの。

なお、保護帽着用義務の拡大については、荷台の側面が構造上開閉できるもの等、昇降設備が備えられている箇所以外の箇所で荷役作業が行われるおそれがあるものや、テールゲートリフター(トラックの後部に装着する荷物積み降ろし用の昇降装置)が設置されているもの(テールゲートリフターを使用するときに限る。)としている。

二つ目は、荷役作業を伴うテールゲートリフターの操作の業務を、労働安全衛生法で定める特別教育が必要な業務とすること。

ほか、 貨物自動車の運転席とテールゲートリフターの操作位置が異なる場合、運転者が運転位置を離れるときの原動機の停止義務等について、適用を除外することとした。

たしかに4トントラックぐらいになると、素人目にみても相当大きな貨物自動車という気がする。災害発生状況をみても、5トン以上で5割、5トン未満で4割となっていて、平成29年から令和3年の原因がトラックの死亡災害を調べると、5トン以上で48%、2トン以上5トン未満で39%、合計で87%という。

そこに加え、厚労省の陸上貨物運送業における荷役作業の安全対策に関する検討会のアンケート結果によると、2トンから4.5トン未満のトラック所有事業者のうち、労働者に保護帽を着用させていると回答した事業者が80%であったという。そして着用させていないと答えた事業者にその理由を聞くと「法令の義務がないため」と答えている。

ということで、保護帽の着用を拡大することに障害はないとの判断になったという。

もうトラックの積み降ろしにヘルメットは付きものと考えるべきだろう。

この3月に労働安全衛生規則の改正が公布され、10月1日から施行される(特別教育義務化は来年2月1日)予定となっている。

「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」の答申結果~貨物自動車の荷役作業における労働災害防止措置を強化します~(厚生労働省)

関西労災職業病2023年4月542号