審査請求で「標準報酬月額に基づく超低額給付基礎日額」取消し!中皮腫で死亡した電気工に対する遺族補償/大阪

2025年3月24日、大阪労働者災害補償保険審査官より審査請求の決定書が送付されてきた。本誌2024年11-12月号などで報告した遺族補償給付の給付基礎日額(平均賃金)が、不当に低額となっており遺族補償給付の取消を求めて審査請求していた事案である。
これまで私達審査請求代理人が主張してきた「原処分庁(大阪南労基署)が行った、離職時の標準報酬月額を基礎として決定した平均賃金額については不適切である」との点が認められた。こちらの主張が認められたとはいえ、2023年11月16日に大阪労働局に対して行った審査請求から1年4か月もの月日がかかった。
結局、平均賃金は約3倍になった。
審査官は要旨、「原処分庁の(関係する事務連絡、通達に基づいておこなった)算出方法に間違いはないが、算出された平均賃金額が(当時の生活保護水準や賃金上昇傾向に照らして)不合理であるので、原処分を取り消して、算出をやり直せ」と判断した。従って、私達が審査請求において指摘した、そもそも間違いのもととなった「社会保険の標準報酬月額を根拠に平均賃金を決める際の事務連絡等についての原処分庁の解釈、運用の誤り」については不問に付される形となった。
つまり、原処分庁の行為自体に問題はない、しかし、(生活保護水準をも下回る)平均賃金はおかしいから平均賃金は変更するべき、だから、原処分を取り消す、という内容であって、なにやら、原処分庁(身内)のメンツを守り、今回のような結果を招いてしまう関係事務連絡の内容的問題点については見て見ぬ振りである。
このままでは、標準報酬月額により平均賃金決定を行うときに同様の間違いが今後も発生する(あるいは、発生している)可能性があり、大阪労働局や厚生労働省に対してこの点について見解をただし、再発防止の具体策を求めなければならない。
思い起こせば原処分後、大阪南労基署の窓口に出向いた際、言葉を尽くして「明らかに間違いなので自庁取消をせよ」と要求した私達に対して一切聞く耳をもたなかった大阪南労基署の労災課長や副署長には一泡も二泡も吹かすことができたのであるが、ことはそういうことに止まらないのである。(事務局:林繁行)

関西労災職業病2025年6月566号