低額給付基礎日額の取消求める審査請求で口頭意見陳述/電気工の中皮腫労災●大阪

2024年8月26日大阪労働局別館5階会議室において、遺族補償給付及び葬祭料の低額な給付決定を取り消しさせるための審査請求で、口頭陳述が行われた。出席者は、審査請求代理人である関西労働者安全センター事務局の片岡・林、原処分庁である大阪南労働基準監督署統括職業病認定調査官の宮風氏、労働者災害補償保険審査官の西山氏・木村氏の5名であった。請求人から出された質問状に対して原処分庁からの回答を求めた。冒頭、原処分を行った大阪南労働基準監督署の労災課長と担当者及び原処分に係る調査官・深田氏が出席していないことの説明を求めた。

審査官の回答は、深田氏は、大阪労働局高度労災補償調査センターの非常勤職員である。宮風氏は、大阪労働局と大阪南労働基準監督署を併任している。原処分庁の大阪南労働基準監督署・労災課長、担当官、調査官・深田は異動のため出席していない。とのことであった。
原処分庁は、使用者による支払賃金額記録いわゆる賃金台帳がないことで、調査官・深田氏は、請求人に対して調査の同意書を取り、職権で同意に基づく職権調査として吹田年金事務所より被保険者記録照会回答票及び被保険者記録照会回答用資格画面の2葉を入手し、その事と標準報酬月額に基づいて平均賃金を算出するということをその意味や内容を教示することなく請求人に平均賃金を決定した。調査官、高度労災補償調査センター、原処分庁である大阪南労働基準監督署はすべて被災者の標準報酬月額59,000円並びに日額が3,952円という低額に対してなんの疑問抱かず、その上、算定賃金、平均賃金算定の重要性に鑑みれば、取り扱いを記載した平成22年4月12日基監発0412第1号、改正基監発1221第1号、令和5年12月22日の全文を明記し、手渡し、説明し、請求人が該当資料を「任意に」提出するときは、その該当資料に基づいた場合に算出されるであろう平均賃金額はどのようになるかを示すことが肝要であると考えられるところであるが、原処分において深田氏は、原処分庁が請求人に行った教示について、これを実施したとの事実はあるのか。この質問に対して、原処分庁の宮風氏は、標準報酬月額に基づいて平均賃金を算定するという方法、その取扱いの承認を得たという経過は確認できない。この金額に基づいて算定するというような伝え方は確認できていない、との回答であった。結局、統計調査・統計賃金という方法もありながら通達も熟読せず趣旨を正解する事なく給付基礎日額を決定し、請求人に支給決定通知書を交付した、ということである。

これまでの経緯はつぎのようなものだった。

2023年8月30日、原処分庁・大阪南労働基準監督署より支給決定通知書が届いたと連絡を受け代理人は、建設アスベスト救済基金の説明もあったので、請求人に当センター事務所に来所するように依頼した。
同年10月4日付決定通知書を見ると、遺族補償年金の給付基礎日額が3,952円とあまりに低額のため、原処分庁・大阪南労働基準監督署に連絡を入れその理由について、説明を受けることとした。
同年10月31日原処分庁・大阪南労働基準監督署、担当者より説明を受けたが、どうも的を射ていなかった。労災課長も出てきて、手続きに沿って決定をしたもので、「不服があるのなら審査請求を行っくれ」の一点ばりで、まったく経緯の説明をしようとせず、怠慢としか言えず、納得できないまま労基署あとにした。

以上の結果から審査請求に踏み切ったのであったが、今回の口頭陳述では、改めてズサンな平均賃金決定が行われたことが明らかになったのである。

関西労災職業病2024年11・12月560号