一部のバスマット、コースターにアスベスト(石綿)含有判明、回収指示。厚生労働省~紙やすりで削るのひとまず止めて~大阪府貝塚市ふるさと納税返礼品で使用 2020.11.27(12.16更新)

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厚生労働省は、2020年11月27日付で、(株)堀木工所(大阪府貝塚市二色南町5-3)製造販売の「CARACOバスマット(LARGE、SLIM、COMPACT)」について、0.1%以上のアスベスト含有が確認されたとして、この製品の流通及び回収を指示したことを、HPで告知した。

堀木工所は11月28日付で、同社HP上で告知記事を掲載した。

2020.11.28 バスマット・コースターの製品不良のお詫びと返送のお願い(堀木工所サイト)

厚労省によると、原材料として成形板(建材の一種)が使用されていること、この成形板にアスベストの一種であるクリソタイル(白石綿)が0.1%以上含有していたこと(0.1%~0.61%)、バスマットの手入れに紙やすりを使うことが推奨されていること、珪藻土バスマットが広く一般に使用されていること等から、さらに調査をすすめるとのことであり、製造メーカー、国民に注意を呼び掛けている。

消費者庁リコール情報サイト「堀木工所「CARACOバスマット(LARGE、SLIM、COMPACT) 、コースター」 – 回収」

以下が、厚生労働省による報道関係者宛告知の全文。

令和2年11月27日(金)

【照会先】
労働基準局 安全衛生部 化学物質対策課
課  長        木口 昌子
課長補佐        中村 宇一
中央労働衛生専門官   直野 泰知

報道関係者 各位

石綿(アスベスト)含有品の流通とメーカー等による回収について(報道発表資料)

今般、以下の製品に石綿(アスベスト)が含まれていることが判明しましたので、メーカー等による回収及び厚生労働省の対応について、お知らせいたします。

<対象製品>

1 メーカー

(株)堀木工所(大阪府貝塚市二色南町5-3)

2 製品名等

CARACOバスマット(LARGE、SLIM、COMPACT)

コースター

3 流通数(販売済み数)

CARACOバスマット 17,460枚
コースター 8,490枚

※この商品はインターネット販売や大阪府貝塚市のふるさと納税返礼品として流通しています。

<対象製品をお持ちの皆様へ>

  •  貝塚市のふるさと納税返礼品として入手された方への対応(回収方法等)については、貝塚市及びメーカーにおいて検討中です。後日皆様のところに連絡が行きますので、貝塚市からの連絡をお待ち下さい。
     なお、ふるさと納税返礼品を受け取った後に転居された方など連絡先が変更になっている場合は、以下の貝塚市の問合せ窓口までご連絡下さい。
    072-433-7055(貝塚市ふるさと納税担当)
  •  メーカーからのインターネット販売で購入された方は、メーカーにおいて販売先を把握しているため、回収方法等について後日メーカーから皆様のところに連絡が行きますので、メーカーからの連絡をお待ち下さい。
     なお、購入後に転居された方など連絡先が変更になった方や、上記以外の方法で入手された方は、以下のメーカーの問合せ窓口にご連絡下さい。
    0120-001-937(株式会社堀木工所)
  •  バスマットやコースターを通常の使い方で使用している限りは石綿(アスベスト)が飛散するおそれはなく、健康上の問題を生じさせるおそれはありませんが、削ったり割ったりした場合には飛散するおそれがありますので、削ったり割ったりしないようにお願いします。
  •  もしすでに破損しているなどでご心配な場合は、ビニール等に入れ、テープ等でしっかりと封をして、回収まで保管してください。
  •  メーカー等が回収しますので、ごみ等で廃棄したり、メーカー指定の方法以外で返送したりしないようお願いします。

<厚生労働省の対応>

○ 石綿(アスベスト)を0.1%を超えて含む製品は、平成18年9月以降、製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されています。
○ 今回販売された製品は、禁止前に仕入れた原材料を使用して製造されたものでしたが、同様に古い原材料を使用して製造されているものや、海外から輸入されているものについて、石綿(アスベスト)が含まれているものがないか、関係業界に一斉点検を求めています。
○ 一斉点検の結果、石綿(アスベスト)が含まれている製品が確認された場合は、ただちに公表するとともに、メーカーに回収を求めます。
○ 厚生労働省においても、現在流通している同種の製品に石綿(アスベスト)が含まれているものがないか、サンプルを買い取って分析を行う取組を進めます。

<他の同種の製品についてのお問い合わせ> 

○ お持ちの製品に石綿が使用されていないか等の各商品に関するお問い合わせは、各メーカーまでお願いします。

<石綿対策についてのお問い合わせ>

○ 石綿対策についてのお問い合わせは、厚生労働省までお問い合わせ下さい。
(厚生労働省の問合せ先)
 03-6812-7808
 平日対応時間:08:30~18:15
 休日対応時間:10:00~17:00(当分の間)

【参考資料】

アスベスト全面禁止(パンフレット)

石綿含有製品等の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について(関係団体への要請文)

基安発1127第1号
令和2年11月27日

関係団体の長 殿

厚生労働省労働基準局安全衛生部長
(公印省略 )

石綿含有製品等の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について

平成18(2006)年9月1日から、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての製品の製造、輸入、譲渡、提供又は使用が禁止されており、厚生労働省においては、平成23年1月27日付け基安発0127第1号「石綿含有製品の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について」等により貴会に対しその遵守の徹底を要請してきたところです。

しかしながら今般、成形品を加工したバスマット及びコースターに、石綿がその重量の0.1%を超えて含有している事案が把握されました。当該製品は、平成13(2001)年に購入した成形品を原料として、平成28(2016)年に開発した製品であったことが判明しています。

本事案の他にも、平成18(2006)年8月以前に購入し、在庫として保有していた石綿含有の工業製品を、平成18(2006)年9月以降に販売した事案が、複数確認されています。

つきましては、同種事案の再発を防止するため、貴会より傘下会員に対し、下記に留意の上、石綿を含有する製品を取り扱っていないかの点検について、周知・依頼いただきますようお願い申し上げます。

1 平成18(2006)年8月31日以前に購入若しくは製造し又は譲渡・提供を受け(以下、「購入等を行った」と称する。)、在庫として所有している工業製品又は原料であって、石綿含有の可能性があるものについて、石綿がその重量の0.1%を超えて含有していないか点検を行うこと。
なお、平成18(2006)年以前は1%以下の含有率であれば石綿製品には当たらなかったが、平成18(2006)年9月以降は0.1%を超えるものを石綿製品として取り扱うよう規制範囲を拡大したため、表1に列記する建材及び類似品(表1に列記する材料を使用して製造された建材以外の製品を含む。)にあっては、製品安全データシート等に記載されている組成・成分情報に石綿(アスベスト)の記載がない場合であっても、材料の製造年等によっては石綿が含まれる場合がありうることに留意すること。

<表1>石綿を含有する可能性がある石綿の表記がない建材及び類似品の例

繊維強化セメント板、パルプセメント板、珪藻(けいそう)土保温材、塩基性炭酸マグネシウム保温材、けい酸カルシウム保温材、バーミキュライト保温材、パーライト保温材、屋根用折板裏断熱材、煙突用断熱材、スレート、スラグ石こう板、けい酸カルシウム板第1種、けい酸カルシウム板第2種、ロックウール吸音天井板、タルク

2 ガスケット、パッキンについては、平成18(2006)年9月1日以降においても禁止措置の適用が猶予されていたものがあることに留意すること。

3 海外から輸入した建材及びその類似品(表1に列記する材料を使用して製造された建材以外の製品を含む。)並びにそれらの原料については、輸入時期に関わらず、特に石綿等の輸出が禁止されていない国から輸入したものについて、使用・販売前に石綿がその重量の0.1%を超えて含有していないかの点検を行うこと。

4 調査対象製品に石綿がその重量の0.1%を超えて含有していないと判断する方法は、自ら石綿含有の有無について分析調査を行うか、製造事業者から石綿等の使用の有無に関する証明や成分情報等を入手し確認する必要があること。この際、生産国によっては石綿含有の有無の判断基準が日本とは異なる可能性もあることから、単に石綿含有の有無だけでなく、0.1%を超えて含有していないことを確実に確認すること。

5 上記の結果、石綿をその重量の0.1%を超えて含有している製品があることが判明した場合には、直ちに当該製品の出荷及び使用を停止するとともに、所轄の労働基準監督署まで報告の上、流通している製品の回収を行うこと。
回収にあたっては、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第32条に基づき、堅固な容器又は確実な包装による梱包を行うとともに、当該容器又は包装の見やすい箇所に石綿等が入っていること及びその取扱い上の注意事項を表示する必要があること。なお、事業者が直接回収せず、販売先等に輸送の手配を依頼する場合には、前記の方法による梱包及び表示を行う必要があることを確実に伝達する必要があること。

(参考)平成18(2006)年8月以前に購入した工業製品又は原料を在庫として保有し、平成18(2006)年9月以降に当該工業製品を販売等し、又は原料を加工して販売等を行っていた最近の事例

① 平成18(2006)年8月以前に購入し、在庫として保有していた石綿含有の建設機械・車両等機種用のエンジン等のガスケット、パッキン等について、平成18(2006)年9月から平成27(2015)年7月までの間出荷していたことが判明したもの。(事業者において令和2(2020)年9月に事案を公表済)

② 平成18(2006)年8月以前に購入し、在庫として保有していた石綿含有の建設機械エンジン用等のガスケットについて、平成18(2006)年9月から令和元(2019)年10月までの間出荷していたことが判明したもの。①の事案の公表を踏まえ、事業者において自主的に点検を行ったところ、本件が発覚したもの。(事業者において令和2(2020)年11月に事案を公表済)

③ 平成18(2006)年8月以前に購入し、在庫として保有していた原料を使用して製造した珪藻土バスマット及びコースターについて、平成28(2016)年6月から令和2(2020)年2月までの間出荷していたもの。当該原料に当時添付されていた製品安全データシートには、「石綿」「アスベスト」の記載はなかったものの、分析調査を行った結果、その重量の0.1%を超えて石綿を含有する結果が得られたもの。(今回の事案) ※赤字筆者

「アスベスト含有繊維強化セメント板に珪藻土を混ぜた成形板(段谷産業株式会社製造)を仕入れて加工したもの」厚生労働省相談窓口の話

厚生労働省に電話で問い合わせたところ次のような話だった。

  • 問題のバスマットとコースターは、「繊維強化セメント板に珪藻土を混ぜた成形板」【製造は段谷産業株式会社(福岡県北九州市、2002年4月19日自己破産)】を仕入れて、メーカーである堀木工所が加工して作った製品。
  • その原料たる成形板を仕入れたのは、2001年(平成13年)。
  • 含有されていたアスベスト(石綿)はクリソタイル(白石綿)で、含有率は、
    バスマット(LARGE):0.38%(メーカー調べ)
    バスマット(COMPACT):0.61%(メーカー調べ)
    コースター:0.1~0.3%(国調べ)
  • 段谷産業による成分表示は「珪藻土、パーライト、セメント、パルク」とあった。
  • ふるさと納税返礼品に使用されたのは、2016年8月~2020年3月。
  • 今年(2020年2月頃)、堀木工所が分析調査したときアスベストは含有されていなかったとなっていたが、その後、貝塚市が分析したらアスベストが検出されたのが9月で、違う結果が出たことから,堀木工所から厚生労働省に相談があり、改めて国で分析してアスベスト含有を確認したという経緯。
  • ネット販売の掲示が現在もなされていることは確認しているが、すでに販売はしていないと報告を受けている。
  • 問題の製品のほとんどが、ふるさと納税返礼品として出荷されたということである。
  • 懸念しているのは、原材料が建材であったことと、珪藻土マットが多く製造、流通、使用されていることで、約500の関係団体に通知をした。
  • また、輸入建材が原材料に使用されているケースが予想され、規制対象の石綿含有率が国により異なるケースもあり(たとえば、米国は1%)、さらに調査する予定である。
  • また、手入れの方法として推奨されているのが、「紙やすり(サンドペーパー)を使う方法」であることも懸念材料である。

紙やすり(サンドペーパー)での手入れは石綿含有がないことを確認してから

回答してくれた厚労省担当者の話にもあったが、実際、珪藻土マットの愛用者は多く、手入れに紙やすりが使われている、という点が懸念材料。

「珪藻土バスマット 手入れ」検索すれば、ほとんど、どのサイトでも紙やすりの使用を推奨している。

愛用者の方は、ご自身の珪藻土バスマットにアスベスト含有がないことを確認されることを勧める。

今回の問題が、1メーカーの問題に止まるかどうかは今のところわからず、今後も注目する必要がある。

アスベスト禁止のはずなのにどうして(関連記事)

https://joshrc.net/archives/8433