港湾労働者の石綿被害の経験 3/大阪
港湾労働者の石綿被害の経験Ⅱ(本誌2020年5月号掲載)の続きを報告する。
かつて港湾荷役で働き、「胸膜中皮腫の疑い」で兵庫医科大学付属病院を紹介され、4月から検査を行っていた。本年6月24日に兵庫医科大学病院に入院、もちろん肺の生検を行うためだった。26日に検査を行い、29日退院、結果は7月13日に判明する。それと当時に大阪西労働基準監督署より休業補償給付が振り込まれた。
申請したのが2月で、新型コロナウイルスの関係で調査が止まっていたとの監督署担当者の報告だったが、約5か月もの時間を費やしたのは、あまりに遅いといわざるを得ない。それと昨年4月より石綿問題は所轄監督署ではなく、大阪労働局労災補償課の「高度労災補償調査センター」で対応(現在の中央労働基準監督署2階)となっており、調査するのは労働局の「高度労災補償調査センター」、療養や休業の支給決定は所轄労基署長となっている。
なにか二度手間なような気もするが、労働局の石綿専門官が何人いるか、大阪の全ての石綿案件を一括して労働局で調査するには少し無理があるように思える。また、単純な案件であれば良いのですが、複雑な案件などどうだろうか?認定が遅くなり被災者の救済が遅れることが懸念される。
ともあれ、検査の結果は、胸膜中皮腫は発見されず、経過観察となった。以前の病院の大阪みなと中央病院にもどり、継続した治療を再開することになり、胸をなで下ろした。しかし何時悪化してもおかしく無い状況にある。本人にその趣旨を伝え、ひとまず一件落着となった。(事務局:林繁行)
関西労災職業病2020年8月513号