大阪における港湾労働者の石綿被害の経験2

本機関誌4月号の続きではないが、前回の港湾荷役に従事し肺がんで亡くなった方と同一職場で働いていた同僚の話です。

2019年6月、某労働組合員の父親(昭和63年に職場を自己退職、現在は年齢78歳)が以前から通院していたクリニックでのレントゲン検査の結果、「肺にくもりがある。じん肺かもしれないので大きな病院で精密検査を受けてください。」との診断を受けた。

どこの病院で検査を受けてよいものか分からず、息子さんが私に相談にみえた。過去に石綿の取り扱いの経歴があるので、みずしま内科クリニックを紹介し、同年7月に受診した。結果は、複数の胸膜プラークと肺機能低下であった。

まず、大阪労働局に対して石綿・健康管理手帳の交付申請を行い、10月にじん肺管理区分「管理2」で石綿健康管理手帳交付が決定され、「管理2」の合併症として続発性気管支炎を発症していることで大阪西労基署へ労災申請を行った。

みずしま内科クリニックへの通院が身体的に困難な状況(介護認定2、車イス生活)にあるので、大阪みなと中央病院へ紹介状を書いてもらい転院した。大阪みなと中央病院の再検査の結果「胸膜中皮腫の疑いあり」と診断され、兵庫医科大学付属病院を紹介された。

2020年4月PET検査で数カ所に炎症が確認されたが、確定診断ができないため、この5月に肺の組織検査を実施し、治療方針が確認される予定であるが、本人は以前に腰痛を緩和させるためにブロック注射した時に頭痛がなかなか直らなかったことがトラウマとなっており、今回の肺の組織検査を拒否していた。

息子さんや兄弟が説得しても拒否続け、私に説得してほしいと連絡が入った。土曜日の午後に本人の自宅に説得活動を続けようやく納得し、検査を承諾した。現時点での報告はここまでです。なお、詳しいことが分かれば随時報告する。(事務局:林繁行)

関西労災職業病2020年5月510号