ZOOMをつかって患者交流 毎日新聞(2020年7月1日)で紹介/中皮腫サポートキャラバン隊
石綿が原因の中皮腫は希少がんであり、治療の選択肢が限られる困難な病気だ。
そんななか、患者同士の励まし合いと情報交換、新薬開発や救済法改正を目標に頑張っている中皮腫サポートキャラバン隊が行っている「中皮腫ZOOMサロン」が毎日新聞(2020年7月1日夕刊)で大きく紹介されたので紹介したい。
毎週水曜日の午後に関西労働者安全センター事務所で開いている「中皮腫サロン」のことは、キャラバン隊共同代表の右田孝雄氏の本誌連載「死ぬまで元気」でも紹介されてきた。
キャラバン隊はコロナの問題が起きるずっと前から、全国の中皮腫患者交流や会議でZOOMを活用していたこともあり、リアルな中皮腫サロンができなくなってすぐ、ZOOMサロンに切り替えている。
キャラバン隊の取材に事務所を訪れた記者がその様子を実見して記事が実現したというわけだ。以下は記事全文。
中皮腫にもコロナにも負けない
毎日新聞 2020年7月1日夕刊
オンライン 患者交流拡大
新型コロナウイルスの感染予防のため、アスベスト(石綿)が原因とされるがんの一種「中皮腫」の患者たちが、オンラインで交流を深めている。新型コロナ感染時に重症化する可能性と、中皮腫の病状の進行という二つのリスクと向き合いながら、治療情報を共有し、悩みや不安を分かち合う。企画した胸膜中皮腫患者の右田孝雄さん(55)=大阪府岬町=は「基礎疾患がある自分たちはまだまだ油断できない。感染の危険があるため直接会えないが、こんな時こそ患者たちで助け合いたい」と話す。
「主治医から腹膜中皮腫は手術が難しいと言われたが、本当にできないのだろうか」。6月24日に開かれた交流会には患者や家族約10人がビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で参加し、意見交換した。中皮腫は肺がんなどに比べて患者が少なく、地方の医療機関では治療法などに詳しくない場合があるという。参加した患者の一人は「初めて同じ腹膜中皮腫の患者と会えた」と喜んだ。
中皮腫患者の交流会は、患者を支援する「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(東京都)の各地の拠点などで「中皮腫サロン」として開かれていた。しかし、新型コロナの感染拡大で、4月以降は中止。右田さんが共同代表を務め、全国の患者と触れ合う「中皮腫サポートキャラバン隊」も沖縄や埼玉などの活動が中止となった。
患者同士や支援者との交流の減少を危惧した右田さんたちは、それまで毎月第2水曜に開催していたオンライン交流会を、4月から毎週水曜と第2土曜に拡大。関西労働者安全センター(大阪市)を拠点に、右田さんの司会で顔を合わせるようになった。
中皮腫の治療法などを話し合うことが多いが、新型コロナについて「入院すると家族とも面会できない。手洗いや消毒には気をつけている」と話題になることもある。右田さんは「重症化のリスクがみんな怖いんやと思う」と参加者の気持ちを代弁する。ただ、「便秘にはところてんが良い」などと日常会話で盛り上がることも多く、右田さんの明るいキャラクターもあって暗さはほとんどない。
オンラインで手軽にお互いの顔を見られるようになった一方で、パソコンなどに不慣れで参加できない高齢患者も多いという。右田さんは「直接会えないのはもどかしい。感染は落ち着いているが、完全に終息したわけではなく、中皮腫患者が日常を取り戻すのはまだ先になると思う」と話した。【近藤諭】
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関西労災職業病2020年8月513号
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