全港湾大阪支部安全衛生委員会事務局長 古井昭朗さんインタビュー/関西労働者安全センター運営協議会 新任委員紹介

運営委員の紹介インタビュー、今回は、全港湾大阪支部安全衛生委員会で事務局長を務める古井昭朗さんです。

インドネシア・コモド国立公園にて、奥様、コモドドラゴンと

―まずは古井さんが労働運動にかかわった経緯をお伺いしたいと思いますが、もともと旅行の専門学校に通っていたんですよね?

関西労働者安全センターの近所にある旅行専門学校に通っていて、卒業後、旅行会社に入社したんです。当時は月給12万円とか13万円が普通のところ、学校に来ていた求人には16万5000円で出ているので面接を受けたら採用されました。
採用されたのはよかったのですが、初っ端の給料から遅延です。しかも仕事は100%飛び込み営業で、1日中頼まれてもいないのに東大阪の事業所を回って旅行のセールスをしていました。航空券手配などの仕事はちょくちょく入りますが、しんどいし、賃金はちゃんと払ってもらえないし、辞めてサンユーサービスに入りました。

―サンユーサービスにはどのような縁で入社されたのですか?

サンユーサービスには、実は18歳のときに働いていたことがあるのです。一度辞めて、専門学校で勉強し直して、旅行会社で働きましたが、また戻れて良かったと思います。当時のサンユーサービスは楽しかったですし。三井倉庫の子会社ですが、もともと家族的な会社で、待遇も良かった。普通、子会社というと立場が弱いものですが、親会社に物を言える頼れる上司がいて、いつも守ってもらっていましたね。

だけど、その上司が定年退職してから就労環境が悪くなっていきます。残業をしても、残業時間を上司が短く修正してしまうのです。もともとタイムカードがなくて、上司が勤怠管理を行っていたところ、残業しても正しい時間を書き込んでくれないんですね。15分とか、30分とか削られてしまっている。そんなんじゃ僕らの士気にもかかわるじゃないですか。どんどん就業環境が悪化していきましたね。部下に対する態度も横柄で不条理、口のきき方も乱暴な、今で言う、パワハラ上司も配属されてきましたし。

そんな中、吉馴さんが転勤で配属されてきます。さっき言ったパワハラ上司による吉馴さんへのパワハラと差別待遇が傍で見ていてもシャレにならなかったんですよ。吉馴さんも我慢強い人ですが、ついにキレて「この営業所の問題は本社で取り上げてもらう!」と宣言したところ、パワハラ上司が慌てて懐柔してくるんですよね。それでもちゃんと待遇や就業環境について会社と話をしようということで2007年に労働組合を結成し、全港湾の分会を立ち上げました。

―古井さんもその機会に合流したんですか?

いえ、結成時に吉馴さんに言われたんですよ、「まずは僕らが何をしているか、何をしようとしているか見ていてほしい。そのうえで一緒にやろう、という気持ちになったら参加してほしい」と。
僕も、もともとキャリア志向があったので、労働組合に入るということは考えていませんでした。会社の幹部に飲みに連れていかれて「全港湾には入らんといてな?」とか言われていましたし。それでも団体交渉を通じて今まで会社に言えなかったことを吉馴さんがバシバシ言っているじゃないですか。労働組合ってすごいなぁ、って思って、結成2か月後には僕も加入していましたね。

―加入してよかったですか?

本当によかったですね。
春闘でも組合結成前の賃上げが平均862円だったところ、今は1万円くらいまでいきますし、一時金だって当時の倍とはいきませんが、かなり上がったのは交渉の成果です。
それから、組合がない頃は有給休暇なんか全然取れませんでした。子供の入学式に参加するなんて理由で休んだらどんな嫌味を言われるやら。家族で海外旅行をするためにまとまった休みを取ろうと、理由をひねり出すのが一苦労でしたよ。それが今は有給も普通に取れるし、待遇も良くなって働きやすい職場になっていきました。

―組合員の労災請求の際も、会社は資料提供などすぐしてくれたのですね。

サンユーサービスは、もともと安全対策には積極的な会社だったのです。昭和40年代にフォークリフトで死亡事故が発生したことがあって、それ以降安全面ではうるさかったのです。全港湾の大阪支部に入って、安全衛生委員会で活動してるうちに、僕自身も安全衛生に意識が向くようになってきました。会社内でも安全衛生委員会を設立し、月1で開催していました。コロナ禍で集まれなくなってしまい、会社の管理職だけで月1で行うようになってしまいましたが、また取り戻さないといけませんね。

―ところで古井さんと言えばSNSを使った情報発信が得意ですよね。仕事で広報などの経験があるのですか?

メディア・映像系の経験はないのですが、視聴者が観たい、と思えるような情報発信をしたいと思っています。それには、自分が好きなようにしているだけではなくて、そこに視聴者から求められる情報を示していくことを心がけていますね。
動画が見やすい、という基本的な点は当然のこと、それに加えて視て感じが良いものを示すことが大事だと思います。文句、悪口、まずい、などのネガティブワードはぜったい使いませんね。
これは全港湾でも言っているのですが、安全センターに相談に来る人の対応をどのように受けてどのように解決したということを、ドキュメンタリータッチで動画にするとバズると思うのです。1000人以上閲覧+再生4000時間以上で収益化もできますし…。いずれにしても今後の労働運動の情報発信には欠かせないツールだと思います。

-動画配信を独学で習得し、今や80本の動画が500万回視聴される程のコンテンツを提供する古井さん。安全センターとしてもご指導をお願いいたします。

関西労災職業病2025年1月561号