「中皮腫を治せる病気に!」2023.5.9院内集会・省庁交渉、参加レポート

2023年5月9日、10日に、東京の衆議院第一会館で行われた院内集会、省庁交渉、そして国会議員室を回ってのロビー活動に参加したので、そのレポートを下に記す。

5月9日午前8時30分。天気は晴天。修学旅行生が散見され、コロナ明けを感じさせる新大阪駅。大阪出身の患者や遺族の方数名と一緒に、新幹線で東京駅へ向かい、そこから丸の内線で国会議事堂前駅へ。国会議事堂前駅からは、徒歩で、地下の直通通路で衆議院第一議員会館へ向かった。地下通路は花崗岩でできた、まるで神殿のようなもので、歩いているとなんとなく自分が特別な存在になったような気がしてくる。
議員会館に到着。時刻は11時50分。議員会館の通行証をもらい、ひとまず、昼食を第一議員会館の地下食堂でいただいた。私は国会カレーの大盛というものを注文した。味は普通だったが、量はかなり少なかったように思う。交渉の議題に上げたいぐらいだ。

さて、第1日目の予定は、「中皮腫を治せる病気に! アスベスト健康被害の格差と隙間のない補償を求める」院内集会&省庁交渉(中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会主催)である。

議員会館地下一階、大会議室に、患者、遺族、団体関係者等、総勢で50人程度が集まった。そして、あわただしく準備が進められ、まずは院内集会が行われた。内容は、中皮腫サポートキャラバン隊代表の右田孝雄氏と、患者と家族の会会長の小菅千恵子氏による団体の要求のプレゼンと、参加していただけた議員や来賓の挨拶である。

右田孝雄氏と小菅千恵子氏

要求項目は、医療研究費の増額と、救済基金と労災の格差是正ということで、具体的かつ建設的なよくまとまったものだったが、プレゼンとしては少し練習不足だと感じた。特に、発表者が、スライドの内容自体を説明せず、それを受けて発展した内容から喋っていたので、スライド表示と同時に話し始められると、事前に内容を知っていても、頭が忙しく感じた。

また、集会であいさつされた議員の数は、共産党3名、立憲民主党2名、そして、日本維新の会が11名(泉南市長、阪南市長含む)。日本維新の会の信条は、左とか右とか関係なしに、市民感覚に寄り添うことと評されている記事を読んだことがあるが、なるほどという結果である。加えて今回は、遠藤たかし国会対策委員長の呼びかけで、維新の方々が集まったらしいが、なんにせよ、党をあげて協力していただけるならありがたい話だ。

続けて、同じ部屋で省庁交渉が行われた。部屋の前の席に、環境省、厚生労働省の代表者が座り、それに対面して座る私たち団体へ向けて、事前に渡していた要求書への回答を述べた。

省庁側の回答は、留保の返事(小委員会の経過を見守る、情報を共有するなど)か、制度として決まっている範囲で行っていることの報告(オプジーボ・ヤーボイのセカンドライン使用の審査など)に終始しており、新しく何かが行われる雰囲気はなかった。

対して、私たち団体側の発言も、個人的には、あまり有用なものではないと感じた。少々感情的な発言が多く、早くやってくれ、という抽象的な主張にとどまっているものが多かったように思う。何事も、いつ、だれが、なにをやる、ということを具体的に決めないと、なかなか前に進まない。

さらに、私自身についての反省だが、上述のような偉そうなことを思いながら、省庁交渉中、何一つ発言しなかった。事前に何も勉強せずに来たせいで、こちらの要求も、省庁側の返事も、意味がよくわからなかったのだ。今後、様々な活動に参加するにあたって、これまでの事情や現在の状況を学び、物事を前に進める助けにならないといけない。

いろいろ課題があるなと思いながら、午後6時40分、院内集会&省庁交渉は終了した。交渉が長引き、部屋の使用時間を大幅に過ぎていたため、てんやわんやで議員会館を出て、近所のホテルで一泊した。

2日目、5月10日午前6時30分起床。ホテル内カフェにて朝食。この朝食はバイキング形式で、当然だが、ご飯はお代わり自由だった。議員会館のカレーは見習ってほしい。午前9時30分、衆議院第一議員会館に再び参上。

2日目の予定は、議員室回り。手あたり次第議員室を回って、1日目の集会での要求を伝えていくのである。5~8人程度で1グループになって、グループごとに衆議院第一、第二議員会館、参議院議員会館の担当を割り当てられ、議員室を順繰りに回っていく。

私のグループは衆議院第一議員会館の担当だった。20数部屋回ったが、基本的に議員本人はおらず、私たちの相手をしたのは秘書の方だった。門前払いということはなかったが、石綿被害について、多少でも知ってそうな人は5人程度(しかも、3人は事前に団体が目星をつけていた人)で、残りの人はこちらの話を聞きながらキョトンとしていた。個人的な感触だが、こういう人は、こちらがいろいろ喋った内容は全部右から左に抜けて、議員の机に資料を置いて終わり、という対応をされてそうだ。メモも特に取っていなかった。

もし予想通り議員に資料を渡すだけという対応をされているのなら、今回配布した資料は少し不適だったかもしれない。今回渡していた資料は、パンフレット2枚と、昨日の院内集会のパワーポイント資料コピーだったが、パンフレットは情報や要求が広範すぎて抽象的で、パワーポイントは要求以外のスライドが多く、読んで理解するようにはできていない。議員室回りで配布する資料は、A4用紙1枚に要求とその根拠だけまとめたチラシにするのがいいように思う。

そんなことを思いながら、午後3時、今回の(私の参加した分の)活動は終了した。

生意気で批判的なことばかり書いたが、これだけの人数をまとめて、様々な活動するのは本当に大変なことだし、それがまともな形になっているのは素晴らしいと思う。私も、今回の活動で、様々なことを体験、勉強し、いろいろ反省させられた。今後も、積極的に活動に参加し、物事を前進させる手助けをしていきたい。(事務局:種盛真也)

関西労災職業病2023年5月543号

【会議録】中皮腫を治せる病気へ! アスベスト健康被害の格差とすき間のない補償を求める院内集会(中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会HP)