労災被災者の生活と権利を守り、労災保険料のメリット制の廃止を‼5月22日・全国安全センター国会院内集会

院内集会「労災被災者の生活と権利を守り、 労災保険料のメリット制の廃止を!!」(ライブ配信アーカイブ)

労災事故や疾病により労災保険給付を受給する被災労働者が出た事業場は、一定の規模、業種の場合、労災保険料が割り増しになる。その逆に、労災が出ていない場合は労災保険料が割引になる。

労災保険のメリット制だ。

メリット制によって保険料が上がったことを不服とする事業主が国を相手取った裁判の影響によって、メリット適用による保険料値上げに対する不服申し立てにおいて「そもそも労災認定が間違っている」という事業主が主張することを、国として容認する、という、オカシナ、ただ、少しわかりにくい行政通達を厚生労働省が今年の1月に出した。

関西労働者安全センターを含む全国労働安全衛生センター連絡会議は、この動きに対し、反対する運動を続けている。

メリット制は交通事故の保険料に類似した仕組みといえるが、実は、メリット制が労災隠しの温床になっていることは従前から当センターのみならず各方面から指摘されてきたことである。

そして、実はメリット制の現状は、企業間の格差、不公平負担によって成り立っているという重大な事実はあまり知られていない。だからといって、メリット制を全企業に広げれば、それこそ、労災隠しがさらに蔓延することは必定。

つまり、メリット制そのものを廃止して、労災保険制度を健全な制度に改革することこそがいま必要なのである。

このことを広く訴え、知ってもらうために、立法府の国会において院内集会が以下の通り開催されることになった。多くのみなさんのご参加を訴える!!

【特集/労災保険のメリット制度】その問題点、海外における議論<全国安全センターHP>

労災被災者の生活と権利を守り、労災保険料のメリット制の廃止を‼

ゆらぐ労災保険~事業主が労災認定の取り消しを求めることが可能に!?労災被災者も解雇される!?~

いま、労災・職業病の被災者の療養生活や権利を破壊する制度改悪が、まともな議論もないままに、強行されつつあります。

今年1月、厚生労働省は、労災保険料の値上げ(メリット制)に対して、事業主が労災認定の内容に不服申し立てを行うことを可能にし、労災認定の内容を否定する判決が出た場合に労災保険料の値上げを取り消す対応を取る、との新たな通達を出しました。

厚労省は、「企業の不服が認められても、労災支給の決定は取り消さないから大丈夫」と言っています。しかし、事業主が労災を否定して被災者が解雇される危険があります。労働者が労災申請そのものを諦めることにもつながり、労災保険制度を根底から脅かす動きです。

さらに、昨年11月には、東京高裁が「(労災保険料のメリット制の適用を受ける)事業主は労災認定の取り消し訴訟を起こすことができる」とする不当な判決を出しています(最高裁で係争中)。

こうした動きの原因が労災保険料のメリット制です。このメリット制の下で、事業主に不利益(労災保険料の値上げ)を課すので、労災認定への不服申し立ての権利も認めるべきだ―そんな議論がまかり通っています。

問題の根源は、労災保険料のメリット制~ごく一部の企業だけが得をする歪んだ制度~

そもそも、今の労災保険制度は、災害の多寡により保険料を増減するメリット制の仕組みを採用しています。その趣旨は、事業場ごとの公平性確保と災害防止努力の促進を図るというものです。

しかし運営状況をみると、メリット制が適用される事業場(全事業場のわずか5%)のうち、保険料の引き下げとなった事業場が80%を超え、引き上げとなったのは約15%で、これによる保険料の差し引きは2千億円近くのマイナスだったといいます。このマイナス分を負担するのは、結局、メリット制が適用されない多くの中小規模事業場(全事業場の95%)となります。負担の公平性どころが、一部の大企業の割引分を、多くの中小企業に負担させるという不公平がまかり通っているのです。

メリット制による災害防止努力の促進については、その効果について、これまで数字が示されたことも、調査が行われたこともありません。それどころか、労災が起こると保険料が上がる仕組みのため、現場では労災隠しの誘因になっています。

労災への事業主の不服申し立てを防ぎ、労災被災者の生活と権利を守る必要があります。そして、労災隠しの誘因となり、大企業の保険料割り引きの負担を中小企業に負わせる労災保険のメリット制廃止へ向け、取り組みを進めましょう。

【日時】
2023年5月22日(月)14:00~

【会場】
衆議院第一議員会館第6会議室

※当日13:30より、第一議員会館・1階ロビーにて、通行証を配布いたします。

【発言】
全国労働安全衛生センター連絡会議/日本労働弁護団/コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク/全国建設労働組合総連合(全建総連)…ほか

【お問い合わせ】
特定非営利活動法人東京労働安全衛生センター(担当:天野)
〒136-0071東京都江東区亀戸7-10-1Zビル5階
TEL:03-3683-9765/Email: amano※toshc.org

 (※を@に置き換えてください)

主催:全国労働安全衛生センター連絡会議(全国安全センター)