新副議長・関谷和人さん(全港湾大阪支部)インタビュー
全港湾大阪支部は、危険な作業を伴う仕事が多いことから、安全衛生活動に非常に力を入れている労働組合です。関西労働者安全センターとも関係は深く、センターとして支部の安全衛生委員会定例会にも参加し、職場の安全パトロールに同行という職場に入る貴重な機会を共有させていただいています。
関西労働者安全センター50年の活動の中で重要な役割を担ってきた全港湾大阪支部ですが、このたび新たに関谷和人さんに副議長にご就任いただいたことに伴い、港湾での作業についてお話しいただきました。
-会社と仕事内容について教えてください。
関谷:会社は此花荷役作業株式会社です。仕事は沿岸荷役といって、船や艀(はしけ)から貨物を取り卸して陸にあげる、つまり倉庫に運んではい付けを行うこと、その逆に倉庫から出してきた貨物を船や艀に積み込むことなどです。主な取扱荷は銅板で、艀からクレーンで陸に揚げ、フォークリフトで倉庫に運びます。
-在職年数は何年ですか。
関谷:今年で24年目になります。
-当時と今と違いは?
関谷 :港湾作業自体は変わっていませんが、現在は構内作業もあり、また機械化が進み人力でする仕事が減りました。
-当時は人力で運ぶような作業が多かったのですか。
関谷 :たとえばパレットに複数のフレコンバッグを載せてフォークリフトで運搬するとき、バッグがひっくり返って落ちないように手鉤で押さえなくてはなりません。フレコンバッグは高さ50cm、縦横30cmくらいのサイズで、大きなものではありませんが、その重さは一人で持ち上げられるものではなく、2、3人でようやく持ちあがる重さです。また、バッグの形は一定ではありませんから、パレットの上に載っていても不安定な状態です。そのため落ちないように、フォークの進行方向に逆らって抑えながら一緒に移動していくことになります。この作業は、腰への負担が大きかったです。10年くらい前までこのような作業をしていました。
-現在の危険な作業は?
関谷 :機械化が進みだいぶ改善しましたが、プレス作業では、カゴに入った銅線を、プレス機にかける前に手で引っ張り出すこともあるので、そのときに腕を引っ掛けたりすることがあります。鉄帯を切断することもあるので、切断時に撥ねるおそれがあるときは周りに声を掛けながら作業をします。
また、最も危険で注意を怠ると重大事故につながるおそれのある作業は、船内の作業です。狭く、揺れる船や艀の中で玉掛をするので、船内で作業する人は常に荷の移動範囲からの避難場所を考えて作業をしなくてはなりません。玉掛をしたら、すぐにその場から離れて、安全な場所に移動することになります。10分間でクレーンが4往復するので、次の玉掛作業まで少し時間がありますが、それでも気を抜くことができません。
-現場での安全活動はどのようなものですか。
関谷 :元請も安全衛生活動は非常に力を入れていて、以前のようにフォークリフト作業に併走して移動するようなことはありません。走行中の車両の側に絶対寄らないように作業手順を厳密にしているほか、構内ではバック走行時は時速5kmを守ることになっています。はい作業でも厳密に荷の積み重ねを確認するなど、事故防止を徹底しています。
先ほども言いましたように、重大事故につながるおそれのある作業は、船内での玉掛作業があげられます。作業中に手を挟まれることもあれば、揺れる船内での作業ですから、荷がクレーンで吊るされたときに揺れて体を挟まれることもあるのです。荷は一山2700kg、これが揺れてまだ船内にある別の山にあたると、一緒に動いてしまいますから、作業員も少し移動して避ければよいというものではなく、まず避難場所の確保が重要です。
昔は、慣れたクレーンオペレーターになると、船舶上の作業を見てクレーンを作動させてしまうこともありましたが、挟まれ防止のために合図は必須です。
-熱中症や自然災害対策について教えてください。
関谷 :熱中症対策としては、一昨年、ネックファンを導入しました。また、昨年は送風機付きジャケットも購入しましたが、艀で作業をすると揺れて銅板に引っ掛けて破損してしまうことが難です。
自然災害については津波・高潮に備えて避難訓練を行っています。消防訓練もあり、放水訓練をすることもあります。
-関谷さん、ご協力ありがとうございました。今後も作業現場における安全衛生活動についてたくさんお話いただければたいへんうれしいです。
関西労災職業病2023年3月541号