石綿読影の精度に係る調査実施~住民対象の石綿健診・環境省/大阪

平成27年度から平成31年度(令和元年度)にかけて実施されていた「石綿ばく露者の健康管理にかかわる試行調査(リスク調査)」にかわり、昨年度から実施されている「石綿読影の精度に係る調査」が今年も実施された。

河内長野市は、古くから石綿製品工場があったため、中高年の受診者が「外に製品が干してありましてね、そこが子どもの頃の遊び場でした」と懐かしがりながら問診を受けている。これまでも有所見者は一定程度見られ、今後も継続して健康管理につなげて行くべき方々複数いる地域であると言える。

リスク調査時は希望者全員にCT検査を行っていたため、胸膜プラーク所見がある受診者は継続してCTを通して経過観察ができたものの、昨年度は肺がん検診にあわせて胸部X線検査のみ行われることにより、やや受診者が減少した。

今年は2日間で34人の予約が入っただけで、さらに減少が見られた。来年度は1日のみの実施となる。

石綿読影の精度に係る調査の流れは次ページの図のようになっている。

左側のラインが石綿による健康被害の有無について調査するものであるが、初期に肺がんの疑いがある場合は右側のラインで精密検査を行う。スタート地点が肺がん検診であるため、石綿の影響については検討されないので、肺がんが確定したとしても、そのデータが環境省にも提供されない限りは石綿との関連性について議論が進まないだろう。

河内長野市は熱心に取り組んできたおかげで、多くの対象者について毎年診断することができていた。レントゲン・CT検査の半年後に医師による画像の解説と面談をひとりひとりに行ってきたこともあり、市民からの信頼もあったことで、高い受診率を保ってきたのではないだろうか。今年の受診者の減少については、高齢化が進み、子などと同居される方が増えたためというように説明を受けたが、もともと地方の小さな町である。地縁・血縁で結びつきの強い地域で、子がいるという理由で町を去るよりも、子らがある程度の年齢になると戻ってくる傾向が強いように思う。

来年は実施日も1日に短縮することになっており、さらに受診者が減るのではないかと危惧している。

関西労災職業病2021年7月523号