滋賀労働局が開示忘れ 開示文書の範囲とは。石綿肺がん不支給(東近江署)審査請求に関連して/滋賀

水道の配管工として長年就労してきたために就業を通じて石綿にばく露したことが明らかであり、環境再生保全機構も石綿に起因する肺がんに罹患したことを認めた事案について、東近江労働基準監督署が業務上として認めなかったことから審査請求を行うことになった。

審査請求に先立ち、被災者が保有個人情報開示請求を行ったところ、A4で903枚の文書の開示が決定された。開示の目的は、業務上と認められない理由を復命書等から検討することにあり、医師の意見書を比較すると以下のことが明らかになった。

◆東近江総合医療センター
胸膜プラークに係る情報:有
石綿小体・石綿繊維情報: 無
石綿肺所見:無

◆近江草津徳洲会病院
胸膜プラークに係る情報:無
石綿小体・石綿繊維情報: 無
石綿肺所見: 有

◆豊郷病院
胸膜プラークに係る情報:有
石綿小体・石綿繊維情報:無
石綿肺所見: 有 

であるところ、労災協力医意見として
胸膜プラークに係る情報:無
石綿小体・石綿繊維情報:無
石綿肺所見: 無 

が示され、業務上ばく露が明らかである期間を3年(同一事業場で110か月の年金記録があるにもかかわらず、石綿取り扱いについて証言を行った同僚が在籍していた3年しか認めないという点も問題である)を認めたものの、石綿に起因する肺がんであるかどうか明らかではないとして本省協議もなく業務外との決定に至った。

審査請求で原処分を取り消させるべく準備を行っているが、問題は、開示された文書の中に一切の画像が含まれていなかったことである。

労災協力医が画像も検討せずに上記のような意見を提示することはないため、さっそく滋賀労働局に問い合わせてみた。すでに開示資料を送付しているため担当者の手元に資料がないことから、一般論としてどのようなことが考えられるか話を聞いたところ、画像をすべて文書化しているのではないかという指摘があった。しかし、今日、労災協力医もパソコンを使って画像を見るだろうし、3つの病院から取り寄せたCTをすべて文書化するとなれば、開示量も900枚では効かないはずである。

結局、レントゲンやCTの画像は、監督署にCD-ROMとして残されており、本来であれば開示の対象であるにもかかわらず、どういうわけか総務課に提出されなかったという。開示請求を行う側としては、開示された文書が得られる情報のすべてであるから、誤りなく開示されないと大きな不利益を招くことになってしまう。開示担当者からは、至急当該CD-ROMを開示請求人に送付するべく手続きをとると言っていたが、東近江労働基準監督署には原処分段階から不可解な点があり、意図的に開示しなかったのではないかと考えてしまうくらいである。

関西労災職業病2012年2月518号