腹膜中皮腫など胸膜以外の中皮腫に対するニボルマブ(オプジーボ)の医師主導治験開始 兵庫医大~2020.9.30

中皮腫で新たな治験開始~腹膜中皮腫などの治療に大きな前進

2020年9月30日、 胸膜以外悪性中皮腫(腹膜・心膜・精巣鞘膜)患者を対象にとしたニボルマブ(遺伝子組換え)<商品名:オプジーボ>による医師主導治験を開始すると発表した発表した。

~新たな治療の開発をめざして~ 悪性中皮腫(胸膜以外)に対する医師主導治験を開始
2020.9.30 兵庫医科大学

治験実施機関は、全国5病院

腹膜・心膜・精巣鞘膜の中皮腫に対するオプジーボ(ニボルマブ)の医師主導治験実施医療機関

アスベスト(石綿)を原因とするがんである中皮腫は希少がんであるため、治療法の開発が遅れており現在は、中皮腫の80%をしめる胸膜中皮腫に対する一次治療(シスプラチン+アリムタ併用化学療法)と二次治療(オプジーボ)が標準治療として保険適用を受けられるにすぎない。胸膜中皮腫以外では、オプジーボは保険適用ではなく、他の胸膜中皮腫に対する化学療法が事実上行われているという、胸膜中皮腫よりもさらに治療方法が制限される状況が続いている。

こうした状況を変えたいと、中皮腫サポートキャラバン隊が「腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名運動」を展開、厚生労働省やオプジーボの製造メーカーである小野薬品に要望書を提出するなどしてきた。

今回の治験開始は、こうした患者の要望実現に向けて大きな一歩。「 胸膜以外の悪性中皮腫患者を対象に、化学療法歴の有無にかかわらず」とされ「すでに化学療法を受けている」といった条件がつけられていないこと(治療の段階にかかわらず治験参加条件に該当すれば治験が受けられる)、腹膜中皮腫だけではなく胸膜中皮腫以外の中皮腫すべてが対象になる、という点が注目される。

今後、兵庫医科大学だけではなく、国内の数カ所の医療機関が今回の治験に参加する模様。

治療に難渋している胸膜中皮腫以外の中皮腫患者にとって治療の選択肢が、医師主導治験という形で拡大することを歓迎したい。

オプジーボ、腹膜などの悪性中皮腫で治験…兵庫医科大 2020/09/30 11:50 読売新聞

2020/09/30 11:50