全国一斉「職場のいじめパワハラ相談ほっとライン」 東京・名古屋・神戸の相談ポイントに9/7-8の2日間で73件の相談

9月10日は、世界保健機関(WHO)が「自殺に対する注意・関心を喚起し、自殺防止のための行動を促進すること」を目的として、「世界自殺予防デー」と定められている。職場においても、モラルハラスメントの問題が重視されるようになり、被害者が自殺に至る事案も出ている。

世界自殺予防デーを直前に控えた9月7日・8日の二日間、全国労働安全衛生センター連絡会議メンタルヘルス・ハラスメント対策局の主催と、コミュニティユニオン全国ネットワークの協力で、「職場のいじめパワハラ相談ほっとライン」を実施した。

相談受付ポイントを、東京・名古屋・神戸の3ヵ所に設置し、神戸ポイントでの相談対応には、4回線にそれぞれ複数の相談員が付き、休む間もなく相談に対応した。メンタルヘルスに関連する相談においては、「ここに行きなさい」、「このように対応すればよい」というノウハウを伝えるだけのコミュニケーションでは到底満足のいく解決には至らない。相談者が抱えている気持ちを共有し、相談者との信頼関係を築くことからスタートしなくてはならないが、それでも特に効果的な回答が出せたわけでもなく、また相談シートに記録するほどのことではないことも想定される。電話をかけてくる方は、顔の見えない相手と話をする不安を抱えているに違いないので、信頼を得るのに対面以上に時間と多大な労苦を費やすことになる。

この環境で神戸ポイントでは二日間で54件もの相談を受け、関西センターからも総動員で協力した。

相談記録を見ると、露骨な身体的暴力よりも、精神的な攻撃や他の従業員からの切り離しが上職者によって行われており、単に嫌がらせにとどまらず、業務に支障をきたしたり、降格などの不利益も生じている。また、相談者から「これって、ここで相談をしてよいものかどうか…」と遠慮がちに話を切り出されることも多い。ハラスメントを継続して受け続け、自信を無くした相談者が「自分が悪いから」と状況を受け入れ始めているためである。相談に来るケースはまだ重症化していないと言ってもよいだろう。すでに諦めてしまっている人たちが山ほどいるに違いない。


実際に受けた相談の中にも、「自分が悪いのかな…」と思い始めているケースがあり、話を聞いていると、上司も「良い上司」であろうとしていることがわかる。「何があっても私が責任を持つから!」と言ってくれても、過大な負荷を課された挙句、「あなたの前任者はこれくらいできたのに」と付け加えられると余計に辛い。「できない私が悪い」のではなく、仕事の配分ができない上司が悪い、という気付きに行きついたものの、これからどのように職場に行って仕事をしようか、という点まで話ができなかった。

相談を通じて解決できる、というケースは限られるだろうが、継続して相談に乗っていくなど、相談者のSOSを受け止め、少しでも救われるケースを増やしていければと思う。

関西労災職業病2019年10月504号