事業主確認廃止など迅速化/韓国「新型コロナウィルス肺炎」労災対応で

韓国で新型コロナ肺炎による労災が初めて認定されたことを本サイトでも報告したところだが、その際の、認定当局である韓国勤労福祉公団の報道発表を入手した。日本では労災補償業務は厚生労働省(労働基準監督署)が行うが、韓国では同公団が行う。
同資料によれば、今回の認定にあたり公団は、状況に迅速に対応するため、「公団は被災労働者が労災申請を容易に行えるよう事業主確認制度を廃止し、書式を簡素化したほか、やむを得ない場合、病院診断書の添付だけでも労災申請が可能となるよう、制度を改善した」とのことだ。
日本における労災申請、認定状況について、厚生労働省は未公表だが、日本においても、こうした迅速化対応が求められる。
以下が今回の報道発表資料(和訳)。

勤労福祉公団2020年4月10日付報道資料 https://www.kcomwel.or.kr/kcomwel/noti/pres.jsp

「コロナ19確定診断者」、国内初の労災認定
ソウル九老コールセンター感染労働者、手続き簡素化で迅速に決定

九老区コールセンターで働き、コロナ19に感染した労働者が労働災害の認定を受けた。
勤労福祉公団は、勤務中にコロナ19に確定診断されたA氏の労災申請を業務上疾病判定委員会の審議を経て10日、業務上疾病として承認し、これはコロナ19に対する初の労災認定事例だと発表した。
判定委員会は、A氏の場合、コールセンター相談業務を行った労働者で、密集しているスペースで勤務する業務の特性上、繰り返し飛沫などの感染危険にさらされた点を考慮し、業務と申請疾病との間に相当因果関係があると判断した。
※ 労災認定により、A氏にはコロナ19の治療で働けない期間中、平均賃金の70%に相当する休業給与が支給され、もし休業給与額が1日分の最低賃金額6万8、720ウォン(8、590
ウォン×8時間)より少なければ最低賃金金額基準で支給される。
コロナ19のような感染性の疾病については、疫学調査を経て正確な感染経路を確認しなければならず、長期間の時間を要すが、今回のコロナ19感染の件については、自治体HP等の関係機関の情報を活用し、明確な発症経路を確認し、疫学調査の省略等により速やかに労災承認を決定した。
また、公団は被災労働者が労災申請を容易に行えるよう事業主確認制度を廃止し、書式を簡素化したほか、やむを得ない場合、病院診断書の添付だけでも労災申請が可能となるよう、制度を改善したところである。
これにより、仕事でコロナ19に感染した場合でも、たやすく労災申請が可能になり、療養中の労災保険医療機関を通じても申請代行が可能になる。
一方、公団はコロナ19による「社会的距離置き」に積極的に参加し、利用者の不便が最小限となるよう、災害調査および判定審議を効率的に運営、労災補償に支障がないよう業務を行っている。
勤労福祉公団のカン·スンヒ理事長は、「今後も公団はコロナ19労災申請を含め、業務上災害を受けた被災労働者が適時に適切な災害補償を受けられるよう、便利に労災申請できるよう支援し、速やかに補償できるよう最善を尽くす」と述べた。

別添 コロナ19関連業務上疾病判断基準(主要内容)

□業務上疾病判断基準
・保健医療及び集団収容施設従事者が業務遂行過程で新型コロナウイルス感染症感染者と接触して感染する場合には、業務と疾病との間の相当因果関係が明確に分かる場合とみなし、業務上疾病の認定可能
・その他の労働者は、個別事案により業務と疾病発生との間の相当因果関係(曝露期間、強度、範囲、発症時期)がある場合、業務上の災害として認定
〇(保健医療及び集団収容施設従事者)患者を収容し、又は診療する保健医療従事者の場合、業務遂行過程で当該ウイルス感染者とは接触が確認され、感染による発病が認められる場合、業務上疾病として認定
〇(非保健医療従事者)ウイルス性疾病のように飛沫をとおして感染する疾病は、その発病の原因を正確に知ることはできないが、
-業務の特性上、不特定多数や顧客応対業務など感染リスクのある職業群や、業務遂行過程で感染源との曝露が不可避の点が認められ、曝露後発症までの潜伏期間が確認され、
-生活空間(家族、親戚)及び地域社会において感染者との接触などがなかった場合、業務上疾病として認定可能

[非保健医療従事者の業務上疾病調査対象]

・当該ウイルス感染源を検査する空港·港湾等の検疫官
・中国等、ハイリスク国(地域)の海外出張者
・出張等の業務上の事由により感染者と一緒に同便に搭乗した者
・業務遂行過程で感染した同僚労働者との接触があった者
・その他、業務遂行過程で避けられず感染患者と接触した者
※現地法人勤務者の場合、労災適用可否を調査後、労災療養可否を判断

[業務上疾病の認定要件]

・上記調査対象に該当する労働者で、下記のいずれにも該当すれば業務上疾病の認定可能
1)業務活動の範囲とウイルスの伝染経路が一致すること
2)業務遂行中にウイルスに感染するに足る状況を認られること
3)ウイルスに曝露したと認められること
4)家族や親族など業務外の日常生活で感染していないこと

「繰り返し飛沫にさらされた」…コールセンター従業員に初めて「新型コロナ労災」認定
ハンギョレ新聞日本語版 登録:2020-04-11 06:21 修正:2020-04-11 07:13