2018年度石綿労災認定事業場、労災認定状況(確定値)公表

2018年度認定997件で横ばい、請求1169件で微増

昨年12月18日、厚生労働省は「平成30年度 石綿ばく露作業による労災認定事業場」と「平成30年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(確定値)」を公表した。
詳細は次の厚生労働省サイトを参照されたい。

平成30年度石綿ばく露作業による労災認定等事業場」を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08390.html
「平成30年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(確定値)」を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08389.html
(なお、船員保険についても合わせて公表されている。)

2017年度までの認定分については、
石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表(平成29年度以前認定分)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/ichiran/081217-1.html

これらによると、2018年度労災認定事業場についてのまとめは次の通り。
927事業場(うち新規公表675事業場)
1) 建設業以外の事業場 (第1表) 388事業場(うち新規公表198事業場)
2)建設業の事業場(第2表) 539事業場(うち新規公表477事業場)
3)2018年度労災保険認定状況
(1)肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚
請求件数 1,169件(前年度比 84件、7.7%増)
支給決定件数 997件(同10件、1.0%増)
(2)石綿肺((1)の件数には含まれない)
支給決定件数 60件(同8件、15.4%増)
4)特別遺族給付金(時効により労災請求ができない死亡事案対象)の請求・支給決定状況
請求件数 38件(前年度比 10件、20.8%減)
支給決定件数 31件(同 16件、106.7%増)

労災認定事業場の公表は次の通りクボタショック報道(2005年6月29日)直後の2005年7月29日から通算して17回目となる。
1)2005年7月29日
2)2005年8月26日※以後被害者団体、マスコミから公表中断について厳しい批判の声
3)2008年3月28日<公表再開>
4)2008年6月12日
5)2008年10月31日
6)2008年12月17日
7)2009年12月3日
8)2010年11月24日
9)2011年11月29日
10)2012年11月28日
11)2013年12月10日
12)2014年12月17日
13)2015年12月16日
14)2016年12月20日
15)2017年12月20日
16)2018年12月19日
17)2019年12月18日(今回)。
厚労省は「建設業以外」(第1表)と「建設業」(第2表)に分けて公表しているので、その分類で独自に集計してみた。

そうすると、公表事業場における認定件数合計は16650件(建設業以外8999(54.0%)、建設業7651(46.0%))、公表事業場数は11136事業場(建設業以外4224(37.9%)、建設業6912(62.1%))だった。
2018年度における認定件数全体(事業場名未公表事業場の分を事業場ベースで1割弱含む)の業種別内訳を厚労省公表資料から計算すると、建設業が全体の56.2%となる。
上記の累積計における46.0%(7651件/16650件)と比べ大きくなっており、石綿労災認定における建設業の比重が明らかに高くいことを示している。
厚生労働省サイトでも、2017年度以前分の労災認定事業場をデータで公表しているのだが、とてもわかりづらいところにあり、かつ、とても使いにくい。
そのため、全国安全センターでは、過去の石綿労災認定事業場を簡単に検索出来るサイトを用意している。
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