大阪労働局と過労死問題で懇談会-過労死防止大阪センター/大阪

8月28日、大阪労働局にて過労死防止大阪センターと大阪労働局の懇談会が行われた。この懇談会は過労死防止大阪センターの結成以来、毎年開催されている。労働局側は、監督課長、労災補償課長など5名、過労死防止センターからは幹事として参加している各団体から9名が出席した。

懇談は、センター側から前もって提出した協議事項に労働局側が回答する形で行い、また重要な項目については質疑を行った。
協議事項は、大きく分けて「監督・安全衛生関係」「労災補償関係」のふたつで、基本的な統計数字などのデータを労働局から提供を受けたうえで、その時々の問題を取り上げている。今回監督関係では、2024年4月から業種が拡大された時間外労働時間の上限規制について、医師の宿日直や自己研鑽の労働時間の扱いや、貨物自動車運転手の手待ち時間とする基準などについて質疑が行われた。
労災補償関係では、大阪労働局は大阪管轄分の労災補償状況の公表を2019年度分から取りやめているが、懇談ではこの労災補償データを提供させている。実際に以前と同じようにデータのまとめを作成しているのだから、公表するべきと毎回要請するのだが、労働局としては集計に手間が取られるが、結果として全国の傾向とほとんど違いがないこと、データに間違いがあった場合、公表後の訂正が手間なので、などと今回も否定的な返答であった。しかし、大阪の認定件数は全国の件数の1割ほどと多く、集計データを公表する価値は充分にあると考える。
大阪の精神障害の労災認定件数は、2022年の56件から23年は85件へと急増した。それについて、労働局によるとこれまで労働局の「高度労災補償調査センター(ARC)」に集中して調査を行っていたのを、2023年10月から各労働基準監督署へ担当を戻した結果、決定件数が増えたということだった。ARCは過労死・アスベストなど困難事案を集中して担当することによって、迅速化を図る目的で設立された組織だったが、発足以来調査期間の短縮が実現することなくコロナの流行も調査が進まない原因となり、審査が長期化していた。
また23年度も大阪の認定件率が全国を下回っていることについても、いつも通り、適切に判断した結果であるとの回答だった。

過労死防止大阪センターは、11月に毎年厚生労働省が開催する過労死等防止対策推進シンポジウムの大阪会場の企画で、大阪労働局に協力しており、今後も、協力できるところは協力しつつ、行政を鋭く監視することは続けていく。

関西労災職業病2024年9月558号