建設労働者の労働者性と労災特別加入問題●大阪

令和元年11月1日に肺がんに罹患した被災者は、主治医から、石綿が原因の肺がんであることは明らかであるという説明を受けた。そして、石綿救済法に基づく救済給付の申請を勧められ、病院の協力を得て早期に認定を受けた。手術を伴う治療も一段落した令和2年9月、大工として働いていたときに石綿粉じんにばく露したもので、療養中の肺がんは業務上疾病にあたるのではないかと疑い、当センターに相談をした。このときにはすでに所属事業所から休業補償給付支給請求書と療養補償給付支給請求書にそれぞれ事業所証明を受けていて、療養先の医療機関からの証明待ちであった。

事業所も協力的であれば滞りなく手続きが進むと思われたが、監督署による調査がはじまり、元請の労働保険番号が適用されると知った所属事業所の親方は、元請に迷惑をかけるわけにはいかないということで、被災者は請負業者であり、一人親方であると主張するようになった。

また、昨今は現場に入場する際に労働保険加入の確認をすることから、数年前から親方が被災者ら職人のために労災保険の特別加入手続きを行っていたことも不利に働いた。監督署は事業所の意見を受け入れ、被災者に対し、特別加入をした際の申請書の写しや加入者証などの提出を求めてきた。

とはいえ、本人の知らないところで親方が特別加入の手続きを行っていたことから、被災者の手元に資料は何もない。逆に、令和3年3月、被災者が常用労働者であり、請負ではないことを示す資料を提出した。

提出した資料は、常用労働者であったことを示すための本人および同僚の陳述書、出勤記録と賃金の振込記録である。日当18,000円に出勤日数を掛けたものが毎月末日に振り込まれているので、賃金を受け取っていたことは通帳から確認できる。出勤の記録は本人の記憶と帳面から改めて作成したものであるが、入場した日とそれぞれの現場名も記載しているので、元請に直接問い合わせるなどして確認することも可能だと思われた。

しかし調査は難航し、業務上決定が届いたのは、それから1年以上経った令和4年6月末であった。給付基礎日額は特別加入時に指定した金額ではないので、労働者であるという主張は認められたのだろう。しかし被災者は肺がんであり、これだけ時間が経つと症状が悪化していた可能性もあった。

最近は建設現場に入場するときに社会保険や労働保険の加入について元請から問われるため、作業員が現場入場のために労災保険の第二種特別加入をしていることが多い。車も機材も持っていないはつり工までも一人親方扱いになっているが、従業員として社保完備とまでいかなくても、業務上災害に遭われたときにはせめて労働者としての実態にあわせて処理してもらいたい。

関西労災職業病2022年7月534号