大阪高裁が一審判決取消の不当判決、上告へ~震災後のがれき処理でアスベストばく露した明石市職員の島谷さん公務外認定取消し訴訟

一審で公務災害と認めた判決を高裁が取り消す不当判決があった。公務災害基金が控訴したことも不当であったが、さらに高裁が取り消す事態となった。

本裁判は、一審の神戸地裁が地方公務員災害補償基金兵庫県支部の公務外認定を取り消す原告勝訴の判決を言い渡していたが、その控訴審において3月7日、大阪高裁(松井秀隆裁判長)がこれを取り消した。

震災処理に伴う作業によって中皮腫を発症し、業務上疾病として労災認定された事案はこれまでもある。

本件における最初の公務外決定や今回の高裁判決は、そうした前例や労災認定基準からもはずれた不当な、一種、政治的な判断としか考えられないものである。

原告と弁護団はすでに上告しており、関西労働者安全センターとしても注目し、支援していくことにしている。

※本件の詳細は以下から

震災がれき収集で悪性腹膜中皮腫を発症/公務労災認定を求め明石市職員の遺族が提訴
2018/01/20
ひょうご労働安全衛生センター

震災時のガレキ収集業務で腹膜中皮腫を発症/神戸地裁 公務災害と認定
2021/04/05
ひょうご労働安全衛生センター

阪神淡路大震災時のガレキ収集で中皮腫を発症/公務外認定取り消し訴訟
大阪高裁一審判決を覆す不当判決 上告し引き続き闘う

2022/04/22
ひょうご労働安全衛生センター

震災でがれき処理、中皮腫で死亡の市職員 公務災害認めず 高裁が一審判決取り消し

明石市職員だった島谷和則さんは、1995年1月の震災後、公務で倒壊家屋のがれき回収や運搬を担当。2012年に石綿が原因の一つとされる悪性腹膜中皮腫を発症し、13年に49歳で亡くなった。がれきに石綿含有の建材が含まれたことから公務災害認定を求めたが、同基金は「公務外の災害」と判断。妻弘美さん(58)が神戸地裁に提訴し、昨年3月、同地裁は基金の処分取り消しを命じた。 松井裁判長は、一審神戸地裁と同様に、収集運搬業務では疾病を認定する基準と同等量の石綿を吸っていないと説明。95年の作業から中皮腫の発症までの期間が17年で、労災認定された事例の平均約40年よりも相当短いと判断した。
また市役所に勤める前の仕事で石綿を吸った可能性が否定できないとし、神戸地裁判決は失当と結論付けたとした。 判決後、弘美さんは「震災当時の作業内容を全く理解してもらえず、納得できない」とのコメントを出し、上告する方針。

神戸新聞2022年3月17日

関西労災職業病2022年5月532号