厚生労働省交渉を実施~全国労働安全衛生センター連絡会議/東京
全国労働安全衛生センター連絡会議の厚生労働省交渉が7月20日、東京の衆議院議員会館で行われた。今回も阿部知子議員に助力いただき、交渉の場が実現した。
要望・質問項目の内容は、ハラスメント、化学物質対策、じん肺、アスベスト、新型コロナウィルス労災など多岐にわたった。ただ今回初めてのことだったが、厚生労働省側はこちらが出した質問に対して、当日文書回答した。毎回、厚労省の担当者が回答を読み上げるのを聞いた上で、質問などやりとりしていたのが、文書をもらえたことで、その分質問時間に使うことができた。とは言え、やはりいつも通り時間は不足し、ぎりぎりまで真剣なやりとりが続いた。
労働安全衛生関連では、まずハラスメント対策関連について多数の要請項目があった。まずはILOの「仕事の世界における暴力とハラスメント条約」について、批准を目指す立場を明確にし、具体的な計画を立てるよう要請したのに対して、条約の趣旨は妥当としながらも、国内法との整合性の観点から検討が必要であるとして具体的な進め方についての返答はなかった。
ストレスチェック制度については、チェック後の集団分析と職場改善を義務化するように求めた。返答では、労働安全衛生調査から集団分析と職場改善を実施した職場の割合は年々増えているとし、さらに今年度ストレスチェックの効果検証にかかる調査事業を実施するとのことで、当面、助成金制度や手引き作成などで職場での取り組みを推進するということだった。
芹澤研究班が出した報告書でデジタル撮影によるじん肺標準X線写真の検討結果で、0/1が1/0、1/1、1/1が1/2と読影され、12分の1ずつ重い読影になっている問題については、厚労省はあくまで参考にするとのみで、これまでの判断を見直す姿勢はなかった。
化学物質対策については、国によるGHS分類で危険有害性のある未規制の約2000物質をリスクアセスメントの義務対象とすることなどで対応していくとのこと。またオルトトルイジン、MOCA、アクリル酸系ポリマー、ジアセチルなど新たな職業病が判明した物質について、時効を進行させない取扱いを求めた。
新型コロナウイルス感染症による労災について、休業継続中に調査のため休業補償が停止され、被災者が経済的に困難に陥る事案があり、対応を見直すよう求めたのに対して、厚労省はあくまでも請求ごとに支給の可否を判断する必要があるという建前を返答した。コロナウイルスによる精神障害について一律に認定基準に当てはめるのは適切ではないとの主張に対して、厚労省は一過性の精神障害であれば認定基準によらず認めていると返答した。
脳・心臓疾患、精神障害の労災認定について、精神障害の既往症有りの場合の基準や、「解雇」事案の心理的負荷評価の在り方、実労働時間の調査や判断の問題点について指摘したが、これらについてはいつも通り、適切に判断している、これからも適正に置くなって行く徒の回答が繰り返された。
公務災害についても総務省に対して、調査のずさんさを指摘し、運用の改善を求めた。
特に有意義な回答は得られなかったが、様々な課題について、問題提起し、行政に従事する職員らに注意喚起することができたと考える。
今後も行政交渉は積極的に行っていきたい。
関西労災職業病2021年8月524号
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