頸椎椎間板ヘルニアに労災認定:大理石加工・組立て/東大阪

頸椎椎間板ヘルニアで療養中のBさんの労災支給決定が下りた。
発症から7ヶ月であった。Bさんの職場は、人工大理石の台所、洗面所などを製造しており、Bさんの仕事は人工大理石の加工・組み立てだった。Bさんは、今回の労災の3ヶ月前に、労災で右手小指の先を切断し、その治療は終わっていたが指先に疼痛が残っていた。そのために右手をかばい、主に左手で作業を行なっていた。10キロほどの人工大理石のパーツを担上げようとして手が滑り、あわてて頭と左肩でパーツを支えたときに、左肩に激痛がおこった。

しかし、仕事が忙しかったためにBさんは片手で仕事を続け、2週間ほどたってから痛みが耐え難いものとなり、病院で頸椎の椎間板ヘルニアが分かった。痛みがひどかったために1ヶ月入院治療したほどだった。しかし、指の事故では会社は労災保険の手続きを速やかに行なったにもかかわらず、今回は会社の態度がはっきりせず、病院のソーシャルワーカーの紹介で安全センターを訪れた。

事業主と話し合うために訪れた東大阪市の町工場は、加工機械がたくさん並べられているために通路が狭く、そのために重い大理石を頭の上に持ち上げて手運びをしなければならない状態だった。事業主はすんなり労災請求には同意したが、話し合いの場を仕切ったのは社会保険労務士で、なぜか社労士のほうが、被災労働者に「すっかり治って元の仕事ができる状態になってから、仕事に復帰するように」言いわたした。いつ労働災害が起こってもおかしくない劣悪な職場環境で重労働を強いておいて、労災で休業すれば厄介者扱いというあまりな態度であったが、速やかに労災請求を行なうため穏便に話し合いを終えた。

中小企業が経済的な問題のために職場環境には無頓着で、それどころかめいっぱい労働者を働かしてなんとか会社を維持している現状を目の当たりにしたが、そういう事業主と結託して労働者の権利を無視する社労士がいることにも怒りを覚えた。Bさんの労災が認定されてほっとしたが、治療を終えても職場復帰できるかどうか、まだまだ問題は残っている。

関西労災職業病2003年9月号