新型コロナウィルス感染症と労働組合の対応

たとえば

近所の医院で発症者が確認されたとか、商店の休業などの張り紙を目にすることが増えてきたことでまさに身近な問題となった新型コロナウィルス感染症問題だが、先月末から関西労働者安全センターとかかわりの深い労働組合にどのような対策、対応をしているのか尋ねてみた。
すでに感染者が出た大阪府下の企業では、感染者の同僚のうち、全従業員の3分の1以上にもおよぶ12名の職員に対して2週間の自宅待機が会社から申し渡されたが、一次感染者以外はそれぞれ発症することもなく全員が無事職場復帰を果たしている。
1名の感染者が職場に大きく影響を及ぼす結果となるため、多くの企業や労働組合でも感染対策が行われている。時差出勤や事務所内の換気の徹底はもとより、組合員が安全に就労できる環境作りにどの組合も余念がない。春闘集会を始めとする行事イベントもすべて中止にして多くの人数が集まる機会をなくすだけではなく、感染時や家族の感染時に安心して休むことができることを使用者に対して求めている。

労働組合からの統一要求

全国一般大阪地本では、各単組を対象に調査を行い、求められる対応を的確に把握している。そして3月中には統一要求を各使用者に対して申し入れた。
申入書によると、必要なことは特別有給休暇制度の実現であり、

  1. 労働者やその同居者が新型コロナウィルス感染症に罹患した場合、あるいはそのおそれがある場合だけではなく、感染予防対策のため出勤を見合わせる場合に、必要な期間を特別休暇とすること
  2. 小学校または幼稚園・保育所が休校・休業となり自宅で子を養育する必要があるときは、当該休校または休業期間中に特別休暇とすること
  3. 同居する家族が利用している介護通所施設などが休業となり自宅で介護をする必要になった場合に特別休暇を認めること

といった、組合員の状況やライフステージに合わせて休暇が取得できることを求めている。

安全対策

感染症予防のために特別休暇を取得したことにより、現場に出ている人数が減り、その結果安全面に影響がなかったか尋ねてみた。
先に述べた事業所では従業員の3分の1が出勤していない環境にあり、作業量が減らない場合は一人当たりの負担が増えることになる。限られた時間内で作業を終えようとすれば、安全がおろそかになったのではないだろうか。先の事業所では複数ある拠点に作業の振り分けをして対応できたということだが、それができない事業所では感染対策とともに安全対策も同時に実施しなくてはならない。(酒井恭輔)

202004509