新型コロナ感染症の労災申請は積極的に/労基署に「労災は無理」と言われたら相談を
仕事との関連で新型コロナ感染症(以下、コロナ)に感染、発症した場合は、業務上疾病となる。
厚生労働省はその取扱いについて、1ヶ月以上前に次の通達を出していることがわかった。
「新型コロナウイルス感染症に係る労災補償業務の留意点について」(基補発0203第1号 令和2年2月3日)
福島みずほ参議院議員が厚生労働省から入手したもので、東京労働安全衛生センターが明らかにした。
通達本文をみると「・・・したがって、新型コロナウイルス 感染症にり患したとして労災 保険給付に関する相談又は問い合わせがあった場合には、特定の業種や業務について業務起因性がないとの予断を持って対応することがないよう、相談者等に対して労災補償制度を懇切・丁寧に説明すること。その際、別紙のQ&Aを参考とすること。」と記載されている。
労災申請の抑制をしないようにとの趣旨も含まれているが、「別紙のQ&A」には「労災はなかなか難しい」と受け取られかねない書き方もされており、労基署窓口の対応が抑制的にならないかという心配もある。
いずれにしても、「感染爆発の重大局面」(小池百合子都知事)にまで事態は進展しており、今後もさまざまなケースが想定されるので「労災ではないか」と思ったら労災申請を追求することだ。
なお、社会保険加入者などの場合、一般的に病気で休業を余儀なくされたときは、傷病手当金が受けられる。傷病手当金は労災給付より比較的迅速に受給できるが、一方、労災は労働者の当たり前の権利であり、患者にとって明らかに有利なので、「労災ではないのか」と思ったら、傷病手当金と同時に労災も請求することを勧めたい。
労災が認められ休業補償(平均賃金の8割:休業補償給付(平均賃金の6割)+休業特別給付金(同2割)の合計で8割となる)をもらったら、受給済みの傷病手当金(平均賃金の6割)は返納すればよいだけ。治療費の自己負担分も返ってくる。労災休業中の解雇は法律で禁止される。(片岡明彦)