60歳保温工の腹膜中皮腫親子2代のアスベスト被害/千葉

保温工のMさんから2018年8月 「中皮腫と言われている」 と相談があった。
20年前の1999年、父親で保温工Tさんから相談があって支援した経緯があった。
Tさんはじん肺管理区分管理3イ、続発性気管支炎と大阪労働局から管理区分決定を受け労災請求し、 福島県のいわき労基署から労災認定を受け、 残念ながら亡くなられた。
そのTさんのもとで保温工として働くようになって約40年仕事をした息子さんが大阪市内の病院で腹膜中皮腫と診断を受けたということだった。
その後、腹膜中皮腫の手術を多く手がけている岸和田徳州会病院腹膜播種センターを受診し、 治療を開始した直後の同年10月に急逝された。 享年60歳。
その間、環境再生保全機構に救済給付を申請し、労災請求を準備していたのだが、機構の方は「申請中死亡者に係る決定申請書」 を提出した。2019年3月に認定決定通知が届いた。
労災請求については、遺族補償請求を千葉労基署に提出した。 最終の石綿ばく露をしたとみられる会社が同署管内だったためだ。2019年8月、 支給決定通知が遺族に届いた。
発電所、石油プラントなど多数の現場で仕事をしてきた方で典型的なアスベスト労災被災労働者だった。中皮腫と診断されてから、ほとんどなすすべなく亡くなった推移に呆然とするばかりで、 せめてもっと有効な治療方法があれば、と感じないではいられない。
父親につづいて、そして父親よりもずっと若くして亡くなってしまったMさんの死亡を前にして、「これをどうしてくれよう」と思うばかりだ。
(201909_503)

<写真はMさんの放射線管理手帳、原子力発電所でも作業をした>