安全のきいわあど/その30・一人親方等

増える建設業一人親方等の死亡災害

建設業で一人親方等の労働災害が増えている。「一人親方等」というのは労働者を使用しないで一人で事業を行う一人親方、それに労働者を使用しながら自らも働く事業主、役員、家族従事者を指している。つまり、労働基準法でいう「労働者」にあたらない人たちのことだ。
最近の死亡災害発生状況をみる と、2017年で103人、 昨年で96人となっている。 労働者死傷病報告にもとづく数字(つまり労働者) では、2017年が978人、昨年が909人、建設業に限ると2017年が323人、 昨年が309人となっている。 こう見ると、 労働者以外に約100人にのぼる死亡というのは尋常ではない。
事故の型別の分析をみると、「墜落・転落」がなんと6割を占めている (図表1)。

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年齢別では、60歳以上が65%を占めている (図表2)。

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こうした一人親方等の死亡災害発生状況の特徴は、建設業をめぐる経済動向や少子高齢化という人口構成を表しているといえよう。ただ、労働安全衛生対策をめぐる行政施策が、 ほぼ労働者に限定されてしまっている現状の問題を浮き彫りにしているといえよう。
さて、 そもそもこの死亡災害のデータはどこから出てきたのだろうか。 厚生労働省は、 都道府県労働局と労働基準監督署が把握したものを、2013年から毎年WEBの労働災害統計ページに掲載している。 労働安全衛生法上、 労働基準監督署に届け出が必要なのは労働者に限られるが、 工事自体に各種の届出が必要な建設業については、労働者以外の死亡災害情報は実際問題と してほとんど把握できることになる。 その数字を集計して公表しているというわけだ。
ただ逆にいうと、 死亡災害には至らない休業災害などの場合は、元方事業者も含めて何の法的義務も生じないことから、 正確な数字に近づくことはほとんど不可能であることが想像される。
公表された数字でさらに目を引くのは、死亡災害被災者のうちの特別加入者の割合である。2018年の96人のうち、 特別加入者は61 人、 未加入者は35人となっている(図表3)。

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さらにここから中小事業主等を除いて「一人親方」だけに限定した数字をみると、 全死亡者55人のうち25 人が未加入者となっている。 結局これらの遺族は、 労災保険の適用を受けることができていないわけだ。
死亡災害の個々の事例について詳しい情報はわからないが、 一人親方等の労働災害の場合、 ほんとうに労働者ではないのかという問題がいつも付きまとう。 実際には別の事業主の指揮命令の下で働いていながら、 請負と称して働いている労働者が常に存在することについて、行政の側がさらに監督を強化する必要があるだろう。

労働者でない 「働く人」の災害防止対策を

厚生労働省はこう した事態に対して、 「建設業一人親方等の皆さまへ 建設現場の災害をなくしましょう!」と題したリーフレット、 安全衛生研修用テキスト 「建設業で働く一人親方等のための安全衛生管理」を作成、 HPからダウンロードできるようにしている。 しかしこれらの対策は、法的な裏付けが存在せず、単なる啓蒙でしかないところが大きな問題だ。
毎年わかっている建設業だけで100人の死亡。以前、労働者でない農業従事者の死亡が毎年300人を超えていることとあわせて、根本的な対策をとらなければ、「働く人」の労働災害防止は進まないといえる。
(201909_503)

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