住友ゴム工業アスベスト訴訟控訴審(大阪高裁)で、原告全員勝訴の判決、賠償額も増額 /ゴム・タイヤ製造業など「タルク」由来のアスベスト被害に改めて警鐘/弁護団声明

2019年7月19日、大阪高裁(江口とし子裁判長※)は、一審神戸地裁が賠償を認めなかった2遺族(肺がん)についてもこれを認め、被告住友ゴムが主張した時効の主張についても一審判決に続いて斥ける原告勝訴の判決を言い渡した。
住友ゴム・アスベスト訴訟弁護団は次の通り声明を発表した。

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これまで住友ゴムのアスベスト被害を巡っては、住友ゴム退職労働者が所属する労働組合「ひょうごユニオン」が、住友ゴム工業に対して団体交渉を求めたところ、同社は「退職者に団交権はない」として団交を拒否。この「住友ゴム団交拒否不当労働行為事件」は最高裁まで争われたが、2011年11月10日付で「団体交渉権を認める」という画期的な最高裁判決が下された。
以後、アスベスト被害を被った退職者を組織する労働組合の団体交渉権が確立された。

「退職者に団交権確定-最高裁初判断 『やっと対等に』-原告らに笑み」

(関西労災職業病2011年11-12月合併号)

https://koshc.jp/2019/06/02/ksrsb201112418/

このように住友ゴムがアスベスト被害を受けた労働者に対して敵対的な姿勢を続ける中で提訴されたのが今回の損害賠償裁判だった。
一審では一部訴えが認められなかったが(https://www.sankei.com/west/news/180214/wst1802140088-n1.html)、ひょうごユニオンはこの裁判とともに住友ゴムに対する抗議行動と団体交渉を続けてきた。
ひょうご労働安全衛生センターなどの支援、そして、この訴訟を担当した関西アスベスト訴訟弁護団(http://www.asbestoslawsuit.jp/)の頑張りが今回の判決につながった。

「住友ゴムのアスベスト訴訟、控訴審は全員勝訴 1億円の支払い命じる」(毎日新聞2019/7/19)

https://mainichi.jp/articles/20190719/k00/00m/040/298000c

同記事にあるように、ゴム・タイヤ製造業で大量に使用されてきた「タルク」によるアスベスト被害について、今回の判決は改めて警鐘を鳴らした。
厚生労働省が公表している2017年度認定分までのアスベスト労災認定事業場リスト(ただし、石綿肺については2010年度認定以降分しか含まれない)から、同リストの「石綿ばく露状況」欄に、語句として「ゴム」又は「タイヤ」又は「タルク」が記載されている事業場を抽出すると57事業場になる。

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労災認定数は合計で102名。内訳は
肺がん25(10)、中皮腫58(19)、石綿肺2(1)、良性石綿胸水3、びまん性胸膜肥厚2(2)<時効救済(死亡)>肺がん4、中皮腫8
合計 102名
本判決の舞台である「住友ゴム工業神戸工場」については
・事業場所在地:神戸市中央区筒井町1-1-1
・石綿ばく露状況:ゴム・タイヤに関わる作業
・労災認定数(認定時死亡)
肺がん6(3)、中皮腫2(1)、良性石綿胸水1、<時効救済(死亡)>肺がん3、中皮腫1
合計 13名
となっている。
上記毎日新聞の解説にもあるが、アスベスト含有タルクによる被害には、ゴム製品の製造だけでなく、看護師など医療従事者(上記57事業場一覧表の着色部分)や溶接作業時などでの「罫書き(けがき)」に使用される石筆によるばく露などもある。

「元ゴム工場労働者大塚信太郎さん アスベスト含有タルクで悪性中皮腫/日本で初めて労災認定、石綿肺も発症 堺労基署/タルクとアスベスト関連疾患 熊谷信二/胸膜中皮腫の診断まで 大成功一」(関西労災職業病1992年4月号)

「現寸作業でタルク吸引、悪性中皮腫に労災認定」(関西労災職業病2000年4月号)

「病院でのタルク使用で中皮腫を発症 元准看護師を労災認定」(関西労災職業病2012年10月号)

「元看護師がゴム手袋再生作業で二人目の労災認定」(関西労災職業病2013年6月号)

ベビーパウダーの成分はタルクであるが、かつてはこれにアスベストが含有していた。

欧米などではこれが大きな問題でありつづけている。

「米J&Jに32億円賠償義務と陪審が認定-ベビーパウダー訴訟で」(ブルームバーグ2019年3月14日)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-14/POC34P6S972801

※判決を言い渡した江口とし子裁判長は過去に「大阪建設アスベスト訴訟第一陣大阪高裁判決(2018年9月20日)」を言い渡している。

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