底引き網ロープで宙づりに/技能実習生重傷労災事例1 <下関>

底引き網漁の漁船の船員として働いていた外国人技能実習生が右足を負傷した。下図のような二艘曳漁業の船舶に乗船中、「揚網後、片船へロープを渡す作業中に、からんでいたロープを手で直そうとしたとき、束ねていたロープの上に足を置いてしまったため、すでに片船に繋がれていたロープが波の影響で引っ張られ、右足首にロープが絡み、負傷した」(事業所による事故報告から)。
本人によると「波の影響」ではなく、船舶に設置されたロープリールが巻き取るロープに足が巻き込まれて吊り上げられたという。
(事業所HPから)


幸いにも切断まで至らず、本人の希望で再建手術を繰り返していたところ、骨癒合前にリハビリを開始したことが原因で状態が悪化し、更なる治療が必要になってしまった。いずれにせよ足首関節の用を廃するほどの重傷であったため、治癒後も船舶における技能実習の継続は不可能だと思われる。
事故発生日が2018年10月4日であるが2018年7月に日本に来たため来日後わずか3ヶ月での受傷ということになる。経験の浅いまま、作業スペースが狭い船上において、波に揺られて不安定な体勢での作業であったことが一因かもしれないが、国土交通省のホームページで検索してみると、10年間で116件のローラーに巻き込まれるような同種の事故が報告されており、そのうち約半数は被災者が死亡している。事故報告書を読むと、一人で作業をしていたために巻き込まれたことに他の船員が気付かず、揚網機を停止しなかったことから死亡したものや、一人で乗船していたためにほかに誰も機械を停止する者がいなかったことが原因として記載されている。
巻き込まれ対策として揚網機の非常時自動停止などの安全装置があればこのような事故にはつながらなかったはずであり、前途ある発展途上国の若者に重い障害を残した責任は大きい。
『関西労災職業病』2019年3月(497号)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です