死ぬまで元気です 9 右田孝雄

こんにちは、 中皮腫患者として2016年7月に主治医から余命2年と宣告されましたが、 昨年7月に無事2年の余命をクリアし、 現在延長戦に突入しております。
10月1日に京都大学の本庶佑特別教授がノーベル医学・生理学賞を受賞しました。本庶教授がオプジーボを開発する原理を発見したことが授賞理由ですが、 皆さんもご存知の通り、 それからは連日マスコミはこぞってオプジーボを「奇跡の新薬」 とか「新時代の化学療法」 などと持ち上げるので、病院には 「どうすればオプジーボができるのか」 とがん患者やご家族からの問い合わせが殺到したそうです。 また、 マスコミのニュースを見た方は、 知り合いのがん患者に 「あなたもオプジーボしたらいいよ」 と無責任に話して、 聞いた患者が病院に殺到しているそうです。
まず、 オプジーボはがん患者全員に効くものではありません。しかしながら、当初の過度なマスコミ報道によって 「奇跡の新薬」=「万人に効く新薬」と間違った捉え方をした人は非常に多かったようです。 また、 そんな情報に踊らされて問い合わせをされたオプジーボに適応しないがん種の患者にとってはありがた迷惑、 絶望感を深める方もいたのではないでしょうか。
この熱はマスコミだけではありません。
オプジーボが胸膜中皮腫への使用を承認されてからというもの、 あちこちの医師が患者にこぞってオプジーボを勧めてきます。私もその一人で勧められて現在オプジーボの投薬中です。 抗がん剤が奏功していると言われていましたが抗がん剤を中断し、 オプジーボに移行しました。とはいえ、奏効率は一般に約30%と言われています。
手術もできず抗がん剤も効かない患者にとっては喉から手が出るほどほしい新薬でしょう。そんな方がイチかバチか賭けてみるのは必然です。患者は30%に入りたいという一心でオプジーボに希望を託しています。 稀に出る重篤な副作用を知りながらもこの新薬に賭けています。
私の主治医も含めて 「副作用が出るほど効果が出ると言われている」 と副作用に不安を持たないように医師は指導してくれているようです。 本来心配している副作用が出たと喜んでいる患者もいるくらいですから。
私たちアスベスト疾患患者は、他のがん種の患者と違い無償でオプジーボが投薬できます。 それを考えた時、 今私にとって一番の贅沢は奏功するかどうか分からないオプジーボを打っていることなんじゃないかと思ってしまいます。
『関西労災職業病』2019年1月(495号)

右田孝雄(みぎちゃん) https://asbesto.jp/

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