韓国ニュース(2018年4月号より)

高圧線整備労働者、電磁波によって白血病、労災初認定

高圧線の配電設備の保守の仕事に26年間従事して、白血病で亡くなった労働者が産業災害を認められた。電気を扱う労働者が電磁波によって疾病に罹ったと産業災害を申請して、認められたのは初めて。電磁波と白血病の「間接関連性」を幅広く認めた事例で、今後同種の事件に影響を与えるものと見られる。

勤労福祉公団によれば、業務上疾病判定委員会は2015年に急性白血病で亡くなった高圧線整備労働者のJさん(当時53才)に産業災害を認めた。委員会は電磁波と白血病の間に直接的な医学的関連性は立証されなかったが、業務環境などを考慮すれば、間接的な関連性が相当部分で認められるとした。

Jさんは1990年から高圧電流が流れる電線(活線)を、直接手で触れて連結する「活線作業者」として働いた。普段は健康だったが2015年の初めに急性骨髄性白血病と診断され、4か月目に亡くなった。遺族によれば、Jさんを診療した医療スタッフは「低周波による白血病の可能性がある」という所見を述べた。遺族はJさんが電磁波にばく露して白血病に罹ったとして、勤労福祉公団に労災遺族手当を請求した。

電磁波が人体に及ぼす影響は世界的な関心事である。未だに因果関係が明確に立証されたことはないが、周波数が低くて強い電磁波にばく露すれば、人体に誘導された電流が神経や筋肉を刺激し、影響を及ぼす恐れがあると知られている。世界保健機構は2007年に極低周波電磁波のばく露が小児白血病と相関関係があるという研究結果を認めた。成人が電磁波に多量にばく露すれば、白血病発症の危険が高まるという研究結果も何回も出ている。

国内でもJさんの事件以後、電気労働者を対象にした疫学調査が行われた。産業安全保健研究院が昨年、電気労働者37人を調査した結果を見ると、活線を扱う労働者は、電気を扱う他の職種よりもはるかに多く電磁波にばく露していた。24人は作業中に常時100~300マイクロテスラ(μT)の極低周波電磁波にばく露し、2人は国際機構の「職業人安全基準」の1000μTを越える電磁波にばく露していた。建設労組が2016年に組合員1100人の血液検査をした時にも、白血球の数値異常10人、甲状腺ホルモン数値異常79人などが見付かっている。

仕事をして疾病に罹った労働者が労災を認められるためには、自ら業務と疾病の関連性を完璧に立証しなければならなかった。今回の決定でこのような慣行が変わるのかも注目される。昨年8月に大法院は、サムソン電子半導体工場で働き、多発性硬化症に罹った労働者の労災を認めて、「発病・悪化と業務の間の相当因果関係を認める余地がある」と判決した。裁判所に続いて勤労福祉公団も、労働者の立証責任を軽減する前向きな判断をしたと見られる。電磁波による職業病で労災補償を申請している労働者は、現在10人余りになっている。2018年3月1日 京郷新聞 ナム・チオン記者

医療・輸送労働者の超長時間労働合法化は安全社会に逆行

労働時間の特例業種として残された運送業と保健業の労働者が反撥している。国会は先月28日に勤労基準法を改正し、運送・保健の5業種を、週当り12時間を超えて延長労働ができる特例業種として残したためだ。労働者は「市民と患者の安全のために労働時間を規制しなければならない業種で、無制限な延長労働を許容したことは安全社会に逆行する」と批判した。

公共輸送労組・医療連帯本部は「国会はついに患者と労働者の安全を放棄して、病院の収益保障を選択した」とし、「勤労基準法59条の特例条項を再論議し、業種の例外なく廃棄せよ」と要求した。勤基法59条には、休憩時間・勤労時間の特例が規定されている。今回国会を通過した改正案は、特例業種を26から5業種に減らした。陸上運送とパイプライン運送業(路線バスを除く)・水上運送業・航空運送業・運送関連サービス業・保健業は特例業種として残った。

医療連帯本部は「休憩時間の付与が難しいという問題は、全般的に人員を補充すれば解決できる」と主張した。病院経営陣の立場からは、今の人員を長時間働かせることで費用を節約できる。医療連帯本部は「長時間労働は労働者の集中力を散漫にし、事故の発生率を高める」とし、「病院現場の人員が充分で、労働条件が良くなれば、さらに生かすことができる生命がある」と訴えた。

同労組・空港港湾運送本部も「運送業は道路上安全と直結する業種なので、長時間労働の規制対象であることは明らかだ」とし、「労働時間規制を強化すべき業種に超長時間労働を合法化した無茶苦茶な合意」と反撥している。2018年3月2日 毎日労働ニュース ユン・チャウン記者

11年経ってもやって来ないアボジの春

「2007年の3月6日も、今日のようにきれいでのどかな春の日でした。ユミを乗せて水原の病院に行き、治療受けて家に帰る途中で、私たちのユミは私のタクシーの後ろの席で息を引き取りました」。

娘を先に見送ってから11年。その間に白髪が増えたアボジのファン・サンギさんが口を開いた。6日午前、龍山区のリウム美術館の前で行われた「サムソン労災死亡労働者追悼の日」の記者会見の場だ。サムソン電子半導体工場の職業病を世の中に初めて知らせたファン・ユミさん。6日はファン・ユミさんの11周忌だ。

11年間に多くのことが起こった。ユミさんの話が知らされて、個人の疾病と思って黙っていた多くの被災労働者が起ち上がった。サムソン半導体工場での仕事と各種希少疾病との因果関係を認められるための至難な闘いの結果、2017年に裁判所は、サムソン電子半導体・LCD工場で働いたイ・ユンジョン、イ・ウンジュさんたちの希少な貴難治性疾患を職業病と認定した。遅くはなったが勤労福祉公団も半導体労働者の白血病、リンパ種、脳腫瘍を労災と認定し始め、雇用労働部は高等法院の判決を受け容れて、サムソン電子の有害化学物質の情報が記載された作業環境測定結果報告書を公開することにした。

しかし被災者たちは未だ春を待っている。サムソン電子は2014年11月に「サムソン電子事業場の白血病など職業病問題解決のための調停委員会」を設けて、解決策を議論することに合意した。しかし調停委が2015年7月に調停勧告案を出すと、すぐにこれを拒否し、独自の「半導体白血病問題解決のための補償委員会」を組織して個別補償を始めた。しかしファン・ユミさんの死を契機に、同じような立場の労災被害者家族と様々な労働・市民団体で構成された「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)との対話は拒否している。パノリムは職業病問題を解決するというサムソンが「加害者であるサムソンの思いのままに被害者を分離・排除する欺瞞的な態度」と批判している。

この日記者会見を終えた参加者は、弁当を分け合い、行進を始めた。サムソン総帥一家の自宅がある漢南洞から始まり、瑞草洞のサムソン電子の本社社屋まで向かう行程だ。半導体工場の象徴である防塵服をきちんと着て、各々の手に犠牲者の影像を持った参加者が歩き始めた。しかしその重い主題に較べると、参加者の表情はむしろ淡々としていた。なぜだろうか?「苦しい闘病の末に犠牲になったこれらの名前を1人ひとり思い出して闘うことはとても苦しくて辛いことことなので、いつもよりもっと希望と前向きな話しをしよう」とチョ・テハン・パノリム事務局長が話した。この日の行事のテーマも「ファン・ユミと共に歩く春、希望を咲かす」だった。一緒に歩く道で、本当の春を迎えて、早くその希望が花を咲かせることを。連帯の歩みはいつの間にか漢江のチャムス橋に到着していた。2018年3月6日 ハンギョレ新聞 イ・ジョンア記者

「九宜駅のキム君はどこで保護されるのですか?」

雇用労働部が先月立法予告した産業安全保健法の全面改正案に対し、利害当事者である労・使団体がいずれも再検討を求めた。労働界は良い趣旨で準備された法を事業場にキチンと適用するためには、不十分な部分を補完しなければならないという立場だ。財界は元請けに過度な責任を負わせて企業活動を萎縮させると憂慮する。

危険の外注化防止?「請負禁止の範囲が狭小」vs 「契約締結の自由を侵害」

労働部主催で27日午後、ソウルのSタワーで行われた「産業安全保健法全面改正案に対する意見収斂公聴会」で、労・使団体が「意見の取りまとめをもう一度やって欲しい」と注文した。

この日の公聴会では「危険の外注化防止のための請負制限」条項が争点として浮上した。改正案は、メッキ作業や水銀、鉛、カドミウムなどの製錬・注入・加工・加熱といった有害作業の請負を禁止している。有害危険作業は、安全保健評価の後に請負を承認し、再下請けを禁止した。産業災害予防の措置を執ることができる能力のある者に請負することができるように、適格受注者の選定義務も定めた。

危険の外注化禁止条項に関しては、労使の批判の観点が異なる。労働界は請負禁止の適用対象が余りに狭いと批判した。チェ・ミョンソン民主労総・労働安全保健室長は「改正案を適用すれば、請負禁止適用の対象は22の事業場の852人」とし、「危険の外注化禁止を社会問題化する契機になった『九宜(クイ)駅のキム君』は含まれない改正案だ」と話した。放射線取り扱いと鉄道・地下鉄線路の保守、化学設備の保守、タワークレーンの設置・解体、造船業のように、反復的に労災死亡が発生している事業場の外注化作業に対する検討がないということだ。チェ室長は「外注化が主な原因となって労災が多発する作業と、造船業の再下請け関連の条項を補完しなければならない」と注文した。

チョ・キホン韓国労総・産業安全保健研究所長は「請負禁止の拡大には肯定的だが、依然として不十分だ」として「常時有害危険性のある作業は請負を全面禁止すべきで、正規職に転換して、安全保健管理を受けられるようにしなければならない」と話した。

財界は「有害作業の請負禁止は行き過ぎだ」と主張した。請負契約禁止が企業間の契約締結の自由を根本的に侵害するということだ。チョン・スンテ経総・産業安全チーム長は「特定作業の契約方式自体を根本的に禁止するケースは、日本・アメリカ・イギリスでも見られない」とし、「請負禁止が下請けの勤労者の保護のための予防対策・手段としては不適切である以上、元・下請け間の安全管理の役割と責任を明確にして、有害作業の実行業者の専門性を確保する方が実効性あるだろう」と話した。

専門家の意見も分かれた。クォン・ヒョク釜山大・法学専門大学院教授は「有害危険作業に対する請負禁止は、方向性には共感するが、方法論的には洗練されていない」とし、「危険作業を初心者に請負させるのが問題であって、専門家に請負すれば問題にはならない」と主張した。

キム・ジェグァン韓国労働安全保健研究所長は「改正案には請負禁止範囲の拡大に対する議論や手続きに関する条項がない」として「元請けが適格な受注業者を選定する方法も、適格基準の詳しい内容が見付けられず、違反時の処罰条項もない」と憂慮した。

作業中止・待避権、現場で作動するだろうか

作業中止権も争点だ。政府は改正案で、産業災害が発生する緊急で差し迫った危険がある時は、作業を中止して待避できるようにした。待避した労働者に対する不利益な取り扱いも禁止した。チョ・キホン所長は「緊急で差し迫った危険という定義と解釈が曖昧で、実効性に疑問に感じる」とし、「緊急で差し迫った危険と同時に、安全保健措置が不備な場合を作業中止の要件に含ませて、労働者代表や名誉産業安全監督官にも作業中止権限を付与しなければならない」と主張した。

チェ・ミョンソン室長は「危険だということが分かっていても、作業をしに行って死んだ労働者が多い」とし、「2013年の麗水(ヨス)産業団地の爆発事故の時も、労働者がガス放出作業ができないと言ったのに、事業主が作業を指示したために中に入って事故が起こった」と声を強めた。当時の元請けであった大林産業は作業許可書を出していないと主張したが、検察の押収捜索の中で、大林が作業許可書を発行していたという事実が明らかになった。チェ室長は「今でも合理的な理由で作業待避をすれば、会社から懲戒から損害賠償まで請求される」として「このような状況で、改正案の条項だけで問題は解決できるのか」と反問した。

チョン・スンテ経総・チーム長は「重大災害が発生した事業場で、単に『労災が再び発生するおそれがあると判断される』という理由によって作業中止を命じることができると規定するのは、作業中止要件を行政機関が恣意的に決める結果を招く」とし、「法治主義に背く」と主張した。

一方、この日の公聴会に先立ち、パク・ヨンマン労働部・労災予防補償政策局長は「公聴会を契機に多くの意見を参照し、直せるものは直して、具体的な施行令と施行規則に反映する」と話した。2018年3月28日 毎日労働ニュース ペ・ヘジョン記者

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